【ノビサド(セルビア)7日=高橋悟史、栗田成芳】日本代表のアルベルト・ザッケローニ監督(60)が、3-4-3システムへの強いこだわりを示した。4-2-3-1がベースとしながら、W杯本戦までに完成させる意欲を見せた。3バックありきのシステムではなく、3トップありきの攻撃的な布陣であることを説明した。日本代表は11日午後5時30分(日本時間12日午前0時30分)からセルビア(世界ランク43位)と、15日午後3時15分(同午後9時15分)からはベラルーシ(同80位)と親善試合を行う。

 ザッケローニ監督はリラックスした表情の中に、強い決意を示した。セルビア北部、ノビサドのホテル。エスプレッソを2口で飲み干し、3-4-3システムへのこだわりを語った。

 「3バックという言葉が先行しているが、そうではない。まずは3トップありきということ。前の3人が攻撃に専念するためのもの。そのためには守備のため、中盤に4人が必要。GKは1人必要なので、DFは3人になる。3トップでやりたいための3バックだ」

 3人のFWから守備の負担を取り除く。3-4-3にはFWの選手が、ゴールを奪うことに全力を傾けられるというメリットを力説した。ベースが4-2-3-1ということは変わらない。だがW杯本戦までにオプションとして完成させることも改めて示した。

 「本大会までにどうしてもやっていかなければならない。2つの戦い方を持つことは大事。試合の最初からというよりも、試合の状況に応じて変更できるくらいにまで持っていきたい」

 3-4-3はザックの代名詞ともいえる。監督として無名時代にセリエA・ウディネーゼを3位に導き、ミラン、インテル、ユベントスなどを渡り歩くきっかけにもなった。だが日本代表が3-4-3を習得するまでに時間がかかっている。試合開始から試したこともあれば、残り15分だけテストしたこともある。だがいずれも、芳しい結果は得られていない。

 ザックは「代表を指揮するのは、日本が初めて。もう少しトレーニングの時間があるかと思っていた。想定外のところは少しあった」と明かした。習得が簡単ではないことは分かっている。だからといってオプションとしての布陣を諦めるつもりはない。「W杯前の準備期間で仕上げにとりかかる」と、ぎりぎりまで上積みを目指す。

 戦い方を複数持つことで、W杯で日本が躍進することを信じている。「完璧なチームなど存在しない。長所と短所を自覚し、来年のW杯まで全員のコンディションを良くすれば、必ずいい戦いができる」。本大会まで残り8カ月。選手を信じ、指揮官はチーム力の伸びしろを確信している。