アギレ・ジャパン最初のアウェー戦はライバル韓国になることが1日、分かった。年内開催で、日韓両国サッカー協会が日程調整に着手する。来年1月のアジア杯(オーストラリア)、18年W杯ロシア大会アジア予選(時期未定)に向け、新体制の腕試しには絶好の相手だ。契約間近なハビエル・アギレ氏(55)が就任早々、親善試合としては最も過熱する日韓ダービーマッチで手腕を発揮する。

 伝統の一戦が組まれることになった。過去に数々の名勝負を繰り広げたアジア最強ダービーが、アギレ氏を待ち構える。しかもアウェーだ。

 日本協会の大仁邦弥会長はW杯前に「韓国との契約が1試合残っているし、やらないといけない」と、今年中の実施を示唆した。実は11年8月10日に札幌で日韓戦を開催する際、韓国協会とはホームアンドアウェーの契約を締結していた。W杯予選など、両国の日程上の理由で延期されており、今年中には実施することで一致している。

 先月27日にブラジルから帰国した際、大仁会長は「大会が終わったばかりで、まだ本当に韓国とは話してない。(日程調整は)これからです」と話した。今後、両国協会の実務者同士が日程を詰め、9、10、11月に2試合ずつ組まれている国際Aマッチデーにはめることになる。

 今回の日韓戦は、過去にないほど激しい一戦になる可能性が高い。W杯で日韓両国は、ともに1分け2敗で1次リーグ敗退した。日本代表は帰国時に温かく迎えられたが、韓国は空港でアメを投げられるなど、極度の緊張感の中での帰国となった。韓国代表にとって、失った国民の信頼を一気に回復するには、日本戦で快勝するしかない。

 アギレ氏は、メキシコリーグとスペインリーグ、さらにメキシコ代表監督として、数々のダービーマッチを経験している。レベルの高い試合も多く経験しているが、アウェーの日韓戦は独特の物々しい雰囲気の中で開催される。過去には、現地スタジアムのピッチ上で練習している際、周囲の陸上トラックでは兵士による軍事訓練が行われていたこともあった。当然、試合当日はスタジアムが真っ赤に染まり、指揮官の声も通らない。

 新指導者にとって厳しい環境ではあるが、今後4年間、アジアでの戦いを続ける上で、これ以上ない経験になる。しかも好采配で勝利に導けば、選手たちや日本協会からの信頼が厚くなることは間違いない。試練のアウェー戦ではあるが、アギレ氏にとっては大きなチャンスにもなる。

 ◆国際Aマッチの日韓戦

 通算73試合で日本が13勝22分け38敗と負け越している(PK戦は引き分けとして集計)。ただ、Jリーグが創設された93年以降に限れば、7勝9分け7敗と五分で、ザッケローニ監督時には4試合で2勝2分け0敗。直近の対戦は昨年7月28日のアウェーでの東アジア杯で、FW柿谷の2ゴールで日本が2-1で勝利を飾った。通算73試合のうち敵地では22試合。5勝3分け14敗と負け越しているが、93年以降は5勝3分け2敗と白星先行。<アギレ氏主なライバル対決>

 ◆米国

 2度のメキシコ代表監督時代、北中米カリブ海のライバル米国と計4回対戦した。第1期の01~02年は1勝1敗。W杯日韓大会の予選は1-0で勝ったが、本大会の決勝トーナメント1回戦では0-2で敗れた。09~10年の第2期は2戦2勝。ゴールド杯は5-0、W杯南アフリカ大会予選は2-1で勝った。

 ◆Rマドリード

 スペイン1部Aマドリードの監督だった06~09年に「マドリードダービー」で計5回対戦。06-07シーズンは2分けだったが、07-08シーズン以降は3連敗した。

 ◆バルセロナ

 スペイン1部エスパニョールを率いた12~14年に4度「バルセロナダービー」を指揮。13年1月に0-4で敗れたのを皮切りに4戦全敗。得点0、失点8と歯が立たず。