<アジアCL:(4)G大阪2-0アルカラマ(シリア)(1)>◇準々決勝第2戦◇24日◇万博※カッコ内は2戦合計点

 G大阪初の4強入りを決めたのは、やはりこの男だった。FW山崎雅人(26)がまたACLで輝きを放った。0-0の後半38分、左サイドから抜け出し、相手DFとの1対1。フェイントでかわすや右足を振り抜き、相手GKと左ポストのわずかなすきまを豪快にぶち抜いた。0-1の負けでも4強入りだったが「引き分け狙いじゃなかった。角度がなかったから左に打った」。お立ち台で声を弾ませた。

 苦しい台所事情で、G大阪の切り札に成長した。FWルーカスが右ひざ靱帯(じんたい)損傷で欠場だったが、ベンチスタートだった。第1戦でも途中出場で決勝弾。西野監督は「途中からヤマ(山崎)を入れたのが正解。チームに変化をもたらしてくれる」と絶賛した。膠着(こうちゃく)状態になれば、豊富な運動量でかき回せる。指揮官から「ゴールに直結する動きをしろ」と何度も言われ続けた山崎は「やっとできるようになってきた」と胸を張った。

 これでACL8試合5得点となった。ゴールを決めた試合は4戦全勝の「神話」が続いている。「たまたまです」と謙遜(けんそん)するが、まぐれじゃない。横浜時代の04、05年にACLを2度経験し、1点ずつを決めている。アウェーではスタンドから瓶などが飛んでくるのは当たり前だった。劣悪な環境にも動じないずぶとさを養ってきた。

 準決勝は最高の舞台が整った。宿敵浦和と決勝進出をかけて対戦する。西野監督は「レッズとやりたいと思いながら臨んだ。日本の他クラブが王者にならなければいけない」と前年王者に挑戦状だ。ACL史上、日本勢同士の対戦は初だが、勝機は十分ある。Jリーグの5月17日浦和戦で得点を決めたのが山崎。「強い相手なので、絶対勝ちたい。ここまで来たらタイトルをとりたい」と力を込めた。絶対的な切り札がいる限り、決勝切符は譲らない。【北村泰彦】