前半39分。浦和MF関根貴大(20)はこぼれ球を拾い、ゴール前に持ち込んだ。「リズムよくドリブルに入れました」。相手を次々とかわし、左足一閃(いっせん)。先制ゴールを決めた。

 闘莉王ら屈強なDF3人の間を巧みにすり抜けるさまは、荒波を乗りこなす上級サーファーを思わせた。趣味のサーフィンをともにするDF槙野は「海と違って、ピッチではスピードも出ているし、ライン取りもいい」と笑った。

 19日に20歳に。20代初戦に向け、前日はペトロビッチ監督に「そろそろ上がりなさい」とあきれられるまで居残り練習した。ゴールという形で結実し「今度は結果が出せた」と喜んだ。

 23日のミーティングで、欧州チャンピオンズリーグのBミュンヘン-FCポルト戦の映像を見た。指揮官から、MFラームを手本にするように言われた。「動きだしのタイミング、クロスの質の高さが理想的」。ハイレベルな攻守を目に焼き付けてプレーした。

 ルーキーだった昨年から活躍した分、今季は相手に警戒され、封じられる「2年目のジンクス」も懸念された。しかし逆に周囲との連係精度を高め、先発に定着した。マッチアップした日本代表FW永井を封じたように守備も向上。20歳になった関根はプレー面でも、着実に大人の階段を上っている。【塩畑大輔】