G大阪FW宇佐美貴史(23)が4年ぶり5度目の決勝トーナメント(T)進出へ導いた。城南(韓国)に先制を許したが後半19分、この日が誕生日で結婚記念日だったエースが同点弾で望みをつなぎ、同37分にFWリンス(27)が決勝弾を挙げ、逆転勝ち。連敗スタートで1次敗退危機に陥ったが、F組1位で突破した。ホームアンドアウェー方式による決勝Tは19日に始まり、G大阪はFCソウル、柏は水原(ともに韓国)と対戦する。

 23歳を迎えた宇佐美が満面の笑みを浮かべた。「何とか(決勝Tに)いけたので、優勝目指したいと思います!」。ゴールデンウイーク最終日のホーム。1次リーグ突破を決めた直後、ゴール裏にいるファンに向かって堂々と宣言した。

 エースの意地を見せた。0-1で迎えた後半19分。ゴール前に上がっていくFWパトリックを視野にとらえると、脳裏にゴールへの道筋が描かれた。「GKが一番悩むところに蹴った。触っても入る、触らなくても入る」と言った絶妙なクロスは、相棒のつま先をかすめてそのままゴールに吸い込まれた。

 後半37分には、ゴール前でDF岩下が頭で落としたボールをFWリンスが気持ちと体で押し込み、逆転。「決勝Tにガンバを行かさないといけない。ゴールに向かっていっていた」と振り返った宇佐美を起点に“18分間の奇跡”が完成した。

 大事な一戦は、23回目の誕生日。そして大事な1年の始まりだった。先月のアウェーのACLブリラム戦の前日に初めて公式会見に臨んだ。会見後、長谷川監督からこんな助言をもらった。「サッカー選手にとって大事な年は19と23。19歳は大体の選手がプロになる年。23歳は、どれぐらいの選手へ成長しているかが大事」。心の奥に、じんと響いた。

 この日は妻蘭さんとの結婚記念日でもあり、特別な1日を家族もスタンドから見守った。リーグ徳島戦で決めた昨年の誕生日に続き「今日も充実した誕生日だった」。マン・オブ・ザ・マッチに輝く文句なしの活躍だった。「まずは、決勝Tに進まないといけなかった。僕らにとって、失うものは何もない。プライドを持って戦えればいい」。アジアの頂点に立つまで、エースは挑戦し続ける。【小杉舞】