スター誕生だ! 柏が激闘の末に2年ぶりの8強進出を果たした。水原(韓国)の厳しい守備に持ち前のパスサッカーを封じられ、2点を先行される苦しい戦い。だが後半20分にMF小林祐介(20)がプロ初ゴールとなる豪快な右足シュートを決めた。1-2で敗れたものの2戦合計4-4で、アウェーゴールで上回る柏が準々決勝へ進んだ。準々決勝の組み合わせ抽せんは6月18日に行われる。

 2点を追う後半20分。小林の目の前に幸運が転がってきた。FWレアンドロが中央に切れ込んでシュート。そのこぼれ球だった。0-2で負けてしまえば、2戦合計3-4で敗退。そんな瀬戸際でも無心で蹴った。「何も考えず振り抜きました。うまく入ってくれて良かった。考えていたら、ふかしてしまっていたかも」。右足から放たれたシュートが力強くゴール上部に吸い込まれた。

 これで2戦合計4-4。あとは必死に守った。172センチ、62キロと小柄な小林も、後半38分にスタンドからの大拍手に送られてベンチに退くまで精いっぱいボールを追いかけた。チームを8強に導いたプロ1号について「人生で最高のゴール? もともと僕はほぼゴールを取らない選手なんで(笑い)。すごいうれしかったです」とはにかんだ。

 女優多部未華子似の優しそうなマスク。似ているとの声には「僕は男なんでちょっと…」と複雑な表情を見せるが、その甘い表情がピッチ上では精悍(せいかん)な顔つきに変わる。当たりの強いACLでの戦いにも「僕は球際は得意なんです。相手が大きくても逆に的が大きくて強くいきやすい」。アウェーの第1戦でも額にたんこぶを作るほどの激突に見舞われながら3-2の勝利に貢献した。

 「昔から、エピソードはないですけど“持っている”と思うんです」と小林。その証拠に、ヒーローになるのが分かっていたかのように24日にパーマをかけた。「課題もたくさんあるけど、もっともっと成長できる。柏で努力をし続けてレギュラーを奪いたい」と話すその表情も、ヘアスタイルも輝いていた。【千葉修宏】

 ◆小林祐介(こばやし・ゆうすけ)1994年(平6)10月23日、埼玉・浦和市(現さいたま市)出身。尾間木サッカー少年団から柏U-15に入団。柏U-18時代の12年にトップチームに2種登録されると、13年にトップ昇格。14年はJ3のJ-22選抜としてもプレー。U-18、U-19日本代表、U-21日本代表候補。