仙台がアウェーでG大阪と引き分けた。前半32分に失点も、試合を通して焦らずにゲームプランを遂行してMF奥埜博亮(25)が同点ゴールを押し込んだ。途中交代からわずか4分後に生まれた後半43分の復帰弾で、勝ち点1を持ち帰ることに成功した。

 終了間際に貴重な同点弾が決まった。1点を追う後半43分、奥埜がこぼれ球を押し込んでドローに持ち込んだ。先手を取られても慌てることなく、仙台ペースでゲームを運び続けた結果、実ったゴールだった。ゴール前中央のFKをDF渡部が頭で合わせ、相手GKがはじいたこぼれ球を右足で仕留めた。攻め立てても最終局面でゴールを割れない苦しさを一蹴する得点に、ベガルタイレブンは抱き合って喜んだ。

 ピッチインから4分で結果を出した奥埜は「負けている状況だったので点を取れて良かった」と笑顔だ。臀部(でんぶ)負傷からの復帰戦でもあり「ボールが足につかず息が上がったりしてしまったが、決まってうれしい。勝ち切れればもっと良かったし、こういう試合をものにできればもっと上に行けるのかな」。反省の言葉も口にしたが、次の最終節ホーム名古屋戦へ向けても後味の悪くない試合に仕立て上げた。同点直後にもチャンスを作るなど、昨季3冠王者と互角に競り合った選手たちにサポーターらは拍手を送った。

 今季初の3連勝とはいかなかったが、3戦負けなしで勝ち点を重ねた。渡辺監督も「臆することなく勇敢に戦い、我々が勝ち点3を手にしてもおかしくはなかった」と振り返るほど充実した内容。セットプレーで失点はしたがG大阪の強力2トップを抑え、シュートも相手より多い17本を放つなど攻守で組織的な強さを見せつけた。先発ではDF渡部やキム・ミンテが、切り札ではMF金久保や奥埜らが個性を発揮してアクセントをつけるなど着実に進化している。第1ステージ残り1戦。その成長ぶりを発揮して、ホーム快勝で締めくくる。【成田光季】