J2横浜FCのFWカズ(三浦知良、48)がロスタイムに決勝ゴールを決め、水戸に競り勝った。右太もも裏痛から復帰し、4月26日の徳島戦以来のベンチ入りとなった一戦。0-0で迎えた後半33分から出場し、FW小野瀬のシュートのこぼれ球を左足で押し込み今季3点目を挙げた。カズダンスで復帰戦を白星で飾り、リーグ最年長弾を48歳4カ月2日へと更新。10年以来、5季ぶりの1シーズン3得点以上をマークした。

 チームメートも「漫画みたい」と驚く結末だった。ルス監督が「勝つために」と最後のカードで送り出したカズが、大仕事をやってのけた。後半ロスタイム、小野瀬がシュート体勢に入った瞬間、カズはこぼれ球を予測しゴール前に詰めた。右太もも痛で公式戦から2カ月遠ざかるも、経験豊富なレジェンドに「試合勘」は関係ない。読み通りにこぼれ球が来ると「素直に打つとGKに当たる」と瞬時に判断。あえてタイミングを外す、技あり弾でネットを揺らした。

 アウェーで「カズダンスは控えようかな」と思ったが、MF寺田が「カズダンス!!」と叫び、とっさに今季3度目のダンス。「踊ったら、ホームのような雰囲気になった」と振り返り「(得点した)前の2試合は勝てていなかったので。カズダンスを踊ってやっと勝ててよかった」と笑みがこぼれた。

 横浜FCに加入して10年。練習では誰よりも先にクラブハウスに入り、帰るのはいつも最後だ。練習前、筋トレルームでトレーナーをつけて入念なストレッチに励む。クラブ幹部も「自分の体を試合に使うため、24時間考えている」とそのストイックさに敬意を示し「50歳までやる姿を見てみたい」と期待を寄せる。

 この日の早朝は、4強入りを果たしたなでしこの試合を「気になって」と後半から観戦した。「刺激を与えてくれるし元気になる」と祝福。今季チーム2位の3得点も「まだまだ取らないといけない」と満足はしていない。ロスタイムも含めわずか16分で結果を出したカズのゴールラッシュは続きそうだ。【岩田千代巳】