元日本代表監督の岡田武史氏(59)がオーナーを務めるFC今治(愛媛)が四国リーグを制覇した。

 首位で迎えた最終戦。勝てば優勝、引き分け以下で逆転V逸(2位)の一戦でリャーマス高知FCを下し「岡田オーナー初V」を達成。昨年11月の就任後初のシーズンで12勝1分け1敗(得失点差+53)の成績を残し、今季目標のJFL昇格がかかる全国地域リーグ決勝大会に駒を進めた。

 前半3分に幸先よく先制した。FW長尾善公(23=環太平洋大)の右クロスに、MF高橋康平(23=関西国際大)が豪快なダイビングヘッド。開始早々の一撃で主導権を握った。しかし、ここから苦しんだ。前期の対戦では6-0で圧倒した相手が守備を固めてきたため、前半はシュート2本にとどまる。後半は一転して決定機はつくって18本ものシュートを浴びせたものの、最後の精度を欠きゴールを割れなかった。

 岡田氏が「何が起こるか分からなかったので、決まった時はホッとした」という2点目が生まれたのは後半38分。途中出場の10番、FW岡本剛史(24=J2愛媛)が左サイドを破ってラストパス。MF乙部翔平(23=関学大)がゴールネットを揺らした。このまま2-0で勝ち、2年ぶりの優勝を確定させた。

 前節(9月20日)のキックオフ前まで2位だったが、昨季王者の高知Uトラスターに5-1で勝って終盤戦で首位に浮上した。岡田氏はスポンサー集めに身を粉にした一方、7月に元日本代表MF山田卓也(41)とDF市川大祐(35)を獲得するなどピッチ外でチームの底上げに貢献。

 2人とも負傷で欠場したが、木村孝洋監督(58)は「試合はもちろん、練習からチームにプラスをもたらしてくれる。経験豊富な2人の影響を受けて、さらにたくましくなってほしい」と今後に期待を寄せた。

 目標とする全国リーグのJFL昇格へ、原則2枠の昇格を争う地域リーグ決勝大会(1次ラウンド=11月6~8日、決勝ラウンド=同21~23日)に進出した。岡田氏は「ようやくスタートラインに立てたけど、まだ道のりは長い。今日のような試合をしていては勝てないし、ここから1カ月、地決(地域リーグ決勝大会)第1戦に向けて集中したい」と引き締めた。

 Jリーグの中野幸夫専務理事(60)も視察するなど、地域リーグでは異例の注目を浴びるチーム。途中加入の山田は「明日の新聞にもFC今治の名前が多く載るだろうし、これで結果を残せなければ現場がたたかれる。地決は厳しい戦いになると思うけど、全力で挑みたい」と意気込んだ。