仙台は16日、仙台国際センターで今年度の新加入選手会見を行った。9人の新戦力と渡辺晋監督(42)が壇上に並び、今季に対する意気込みを述べた。千葉から完全移籍加入する元日本代表MF水野晃樹(30)は、恩師の元日本代表監督イビチャ・オシム氏からの金言を胸に、新天地での活躍を誓った。

 杜の都で、輝きを取り戻す。壇上で指揮官の横に座り、ひときわオーラを放っていたのは水野だった。意気込みを問われると、「30になりましたけど、海外へ行ったりいろいろ経験してきた。経験を伝え、勝利につなげられたら。ピッチでしっかり戦っていく」。その表情は覚悟に満ちていた。

 立ち止まってなんかいられない。この日から仙台で新しいスタートを切った。プロ入りから世話になった師匠オシム氏の言葉を、改めてかみしめる。「立ち止まるな」「3つ先まで考えろ」の2つの教えが水野を前に進ませる。当時J1千葉オシム監督の下でプレーしていたときは攻撃に専念し、リスクを冒してまでも前を向くプレーが魅力だった。その攻撃力が評価され日本代表に選出されるまで進化した。「これ(オシム氏の言葉)は今も僕の財産」とし、それを自ら体現することで「チームにとって良い影響になれば」と意気込む。

 心機一転の船出でもある。セルティックでは2季半でわずか12試合の出場にとどまり、帰国後は柏、甲府、千葉と渡り歩いた。「はたから見れば、海外(挑戦)も失敗に見えたかもしれない。でも自分の足りない部分、通用する部分がはっきり分かった良い経験だった」と、しっかりと糧にしている。柏時代はDF渡部博文(28)と「仲が良く」、東日本大震災の復興チャリティーマッチでも来仙しており「縁も感じる」と優しい笑みを浮かべた。

 今季、ぼっ発するであろう2列目争いにも、先陣を切って戦いを挑む。得点につながるスルーパスやクロスだけでなく、MF梁&野沢が務めてきたプレースキッカーにも名乗りを上げるつもりだ。「目標は5得点5アシスト」。仙台の中心となり、走り続ける。【成田光季】