仙台のMF野沢拓也(34)が今シーズン、FWで起用されることが11日までに濃厚となった。チームは宮崎・延岡キャンプ8日目。今キャンプ中の練習及び試合では、これまでの左サイドハーフ(SH)から1列前の2トップの一翼としてプレーしていた。渡辺晋監督(42)は「タクヤ(野沢)を前で考えています」とFWで起用する方針を固めたようだ。J屈指の“天才パサー”は16年、点取り屋になる?

 最前線から、打って打って打ちまくる。渡辺監督から正式にFW転向を言い渡された野沢は「やるからにはゴールに絡み、力を出さないとね」とやる気に満ちていた。キャンプ中、居残りでシュート練習を繰り返す34歳ベテランの「転向」は、今季仙台の浮沈の鍵を握ると言っていい。

 野沢にボールを集めろ! 鹿島時代に経験はあるが「だいぶ久々だね」というFWのポジション。昨季終盤から何回か試されてはいたが、今キャンプでは実現に向け本格的に練習を積んできた。野沢は「あそこの位置ならボールも来るし」と、自身のゴールに対する意欲を示しながら「チームとしてもシュートを打つ意識は課題。たくさん打っていかないといけない」と、チームの得点力アップへ照準を合わせている。

 渡辺監督は起用について「アクションを起こせる選手。前線から降りてゲームに関わったり(パスの)出し手にも受け手にもなれる」と堅守賢攻のキーマンとして期待する。野沢は「気を使ったプレーをしないといけないし、常に考えてやらなきゃという難しい位置だけど、色々なとこ(ポジション)やってきたからね」。豊富な経験も力に、好結果へ導くつもりだ。

 今年、MF梁とともに最年長になった。その自覚からか、練習中も明るく振る舞い、FW西村に自ら指導するなど今まで見せなかった一面をのぞかせる。「サッカーは団体競技。チームが勝つために何をしたらいいか。開幕まで2週間くらいしかない。個人もチームももっと上げていかなきゃ」。野沢の最高は05年の10得点。現時点で「馬力がまだまだ」と言うが「開幕が待ち遠しいね」と笑顔を見せた。【成田光季】