熊本地震の被災地、被災者への思いを抱く関係者が新潟にもいる。今季就任した元日本代表FWの北嶋秀朗コーチ(37)だ。J2熊本では昨季まで2年間コーチを務めた。13年の現役引退時に所属したチームでもある。14日の発生直後、自身が立ち上げた復興プロジェクト「NSPJ」を通じて支援物資を送った。今後も支援継続を決意している。昨季まで2年間、福岡に期限付き移籍で在籍したMF酒井宣福(23)も、支援の意思を示している。

 第8節名古屋戦(24日・パロマ瑞穂スタジアム)に向けた練習。北嶋コーチはメニューの合間に選手にアドバイスを送る。その姿は変わらないが、「心配は尽きません」と、被災地のことは常に心にある。

 14日の熊本地震発生後、NSPJを通じてTシャツ200枚、歯磨き粉96個、歯ブラシ200本、石鹸240個、マスク300枚、2リットル入りのペットボトル216本などを送った。

 NSPJはJ2熊本在籍時代の12年7月に発生した九州北部豪雨の支援を機に、当時チームメートだったGK南雄太(36=現横浜FC)らとともに立ち上げた復興プロジェクト。「今できることをしようと思った」と、今回の震災でも行動を起こした。自身のブログ、ツイッターで励ましの言葉を送り続けている。

 熊本は第2の故郷でもある。日本代表FWとして活躍した柏から12年6月に熊本に移籍。13年に引退後は、14、15年とコーチを務めた。知人、友人は多い。14日の前震の震源地だった益城町は、在住していた熊本市東区の近隣でもある。

 新潟も04年の中越地震、三条水害、07年の中越沖地震と災害が重なった。スタッフら周囲も被災地を思う北嶋コーチに理解を示す。「北嶋家としてお世話になった土地。長期間継続して支援をします」と北嶋コーチ。チームを支える意識と同じように、被災地への思いを強めている。【斎藤慎一郎】