仙台はホームで福岡と対戦し、2-0で勝利した。前半33分にDF石川直樹(30)が頭で先制点を決め、後半8分にはDF渡部博文(28)が左足で追加点を奪った。GK六反勇治(29)の好セーブもあって守備陣も完封。リーグ8戦ぶりの勝ち点3をゲットした。負ければ最下位転落の危機をはねのけ、ここから上昇気流に乗ってみせる。

 仲間に感謝を100倍返し! 澄み渡った青空の下、石川直のヒーローインタビューがユアスタに響いた。祝福の言葉を受けると「やめてくださいよ。泣いちゃうから」。感無量の表情で照れ笑い。先月30日の鳥栖戦の前半、2度の警告を受け即退場し、前節川崎F戦も欠場していた。「悔しくて悔しくて。仲間にも申し訳なくて…迷惑かけた分は100倍にして返してやろうと思っていました」。ようやく、さわやかな笑顔に変わった。

 約2カ月ぶりの大きな白星。負ければ最下位転落の大一番で複数得点を奪い、完封勝ちした。大黒柱MF梁は「(石川直は)責任感が強いんでこういう時にやってくれると信じていた」というほど、信頼の厚い左サイドバック(SB)。「今日に懸ける思いは人一倍強かった」と振り返る。攻め立てても決定機を欠き、苦戦していた前半33分に好機はやってきた。

 右CKのキッカーは野沢。ニアに飛んだクロスを目指し、石川直が一気に飛び込み頭で突き刺した。「野沢さんの正確なキックと情報があってのゴール。狙い通りでした」と会心の一撃に満足げ。この1発でチームは勢いづき、後半8分にもセットプレーから渡部が、第2節以来となる今季2号を放ち、試合を決めた。

 渡辺監督が掲げる「相手よりボールを保持する」姿勢を貫いた。前から前から攻め続け、放ったシュートは18本。守備でもクロス対応にカバリングと体を張った。ピッチに立つ11人が連動し「心のこもったゲームができた。これを続けたい」(石川直)。決めるべき人が決め、未勝利のトンネルを脱出。母の日だったこの日、「コーヒー豆を両家に送った」という心優しいSBは「今日くらいアグレッシブにやればもっと上に行ける」と先を見る。この1勝から再スタートだ。【成田光季】