49歳のキングが決めた。横浜FCのFWカズ(三浦知良)がホーム岐阜戦で先発し、今季初ゴールを決めた。前半22分にクロスを頭で合わせ、敵将のラモス監督の前で健在ぶりを披露。昨年6月28日の水戸戦以来、約1年ぶりの得点で、自身が持つJリーグ最年長得点記録を49歳3カ月24日に更新した。試合は敗れたが、20年の親交があるマーリンズのイチロー外野手(42)の偉業に負けじと、プロ31年目も結果を残した。

 メジャーリーグで金字塔を打ち立てたイチローに刺激を受けたカズが、Jリーグの最年長得点記録を更新した。前半22分、MF小野瀬が右サイドをえぐって上げたクロスにDFの背後を取り、頭で合わせた。V川崎や日本代表でともにプレーした岐阜のラモス監督の前でカズダンスを披露。試合前に激励した敵将は、盟友の活躍に「カズはオーラがあって入り方からすごかった。『フリーにするとやられる』と守備陣に言っていたが(カズへの)アプローチが甘かった。拍手を送りたい」と賛辞を贈った。

 イチローとは不思議な巡り合わせだ。6年前の10年10月24日、カズは都内でイチローと食事をし、6日後の岐阜戦で決勝点をアシスト。今回も、16日にイチローが日米通算4257安打を達成し、祝福メールをやりとりした後の試合で、カズが最年長記録を更新した。この日の午前中にはイチローの試合をテレビ観戦しており「メジャーとJ2は比べられるものではないけど、いい刺激をもらった。自分もゴールを決めなくちゃと思った」と明かした。

 昨秋は太ももと臀部(でんぶ)を痛め長期離脱し、今季は自主トレから焦らず、慎重に体づくりに励んできた。5月末に「心技体」で手応えをつかみ、今節はゴールの予感を抱いてピッチに立っていた。メジャーとJリーグと舞台は違えど、積み重ねてきた数字への思いはイチローと同じだ。「J1とJ2の議論もあると思うけど、思いが強いことが重要。31年やってきて、1点1点積み重ねたことは、J1でもJ2でも関係ない。それがあったら続けていられない」とキッパリ。最後はイチローの言葉を引用し「舞台は小さいけど、小さい積み重ねが大きいところにたどり着く。自分もそうなれるようにやっていきたい」と誓った。【岩田千代巳】

<年長ゴールアラカルト>

 ◆W杯=42歳1カ月8日 94年大会でFWロジェ・ミラ(カメルーン)が1次リーグのロシア戦で達成。

 ◆欧州CL=38歳1カ月29日 ローマFWトッティが14年11月26日の1次リーグCSKAモスクワ戦でマーク。直接FKで記録。

 ◆欧州選手権=38歳8カ月13日 08年大会でJ1名古屋に在籍した経験のあるFWバスティッチ(オーストリア)が記録。1次リーグのポーランド戦でPKでゴール。

 ◆プレミアリーグ=40歳8カ月24日 ウェストハムFWシェリンガムが06年12月26日のポーツマス戦でマーク。

 ◆イングランド2部=48歳3カ月17日 ストークFWスタンリー・マシューズが63年5月18日のホームでのリーグ最終戦、ルートンタウン戦で記録。同選手は翌年2月15日のFA杯スウォンジー戦でも49歳14日でゴール。50歳の65年まで現役を続けた。