まるでミサイルのような鋭い弾道だった。オーバーエージ(OA)枠で五輪代表に選出された広島DF塩谷が豪快なフリーキックで、2点目をもたらした。

 1-1の前半43分だった。ゴールまでの距離は約30メートル。長めの助走を取り、右足から放たれた地をはうような強烈なボールは柏DF輪湖の右足を弾き、コースが変わった。そのままボールの勢いは衰えず、ゴール左隅に吸い込まれた。「壁の右を狙いましたが、速いボールを蹴れば何か起こるかなと思いました」。ボールは狙いと違ったが、結果的にゴールネットを揺らした。5戦4発。五輪へ向け、ギアは上がってきた。

 積極的な攻撃参加と力強いキックは手倉森ジャパンでも大きな武器になりそうだ。キッカーについては「正直、キッカーではないので…うちのチームでもキッカーがいないので蹴っている。自分から蹴りに行くということはないです」。柏FWクリスティアーノのキックを見て「自信をなくしたわけではないですが上には上がいる」と控えめだった。ただ「ケースによっては、狙っていきたい」と意欲も示した。強力な右足は間違いなく、五輪代表の攻撃の幅を広げるはずだ。【上田悠太】