プレーバック日刊スポーツ! 過去の9月30日付紙面を振り返ります。2006年の7面(東京版)は先発Jデビューへ 東京平山専用システム 東京全員がフォローでした。

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 東京FW平山相太(21)が29日、守備免除の特権を与えられた。30日の新潟戦(味スタ)でJ先発デビュー濃厚だが、体力に課題が残るため倉又寿雄監督から、守備でスタミナを消耗せず攻撃に専念することを命じられた。そのため、2トップの一角には運動量豊富なFW戸田光洋が抜てきされる。VIP待遇のJデビューだが、同時に得点という重い責任も背負うことになった。

 平山の表情はさえなかった。29日の最終調整後のピッチ上で、倉又監督から新潟戦メンバー18人が発表された。熱望していたメンバー入りを果たしたが、想像以上に大きくのしかかる重責に、いつもの笑みが消えた。「まだまだ出るか決まってないですから。手応えは分からないです」。わずか1日前の「出たいっすよ」と、にっこり笑っていた表情は影を潜めた。

 まだ万全な体調ではないため、倉又監督から守備免除の特権が与えられた。しかし、最前線で激しく動き回る積極的な守備をしない代わりに、攻撃に専念しての得点を要求された。倉又監督は「彼を使うのであれば、守備できる選手を周りに入れる」。平山の分まで前線で守備をするため、チーム内で最も運動量のあるFW戸田が先発起用される。ゴールのおぜん立てが整えられた。

 仲間の期待も大きかった。点を入れてくれることを信じて、平山の分まで汗をかく覚悟だ。GK土肥は「彼に守備を求めてもしょうがない。残る10人で守ればいい。欲しいのは先制点」。DF藤山も「守備は期待しない。点を取ってくれればいい」とデビュー戦ゴールを期待した。ユース時代から代表でプレーしてきたMF梶山も「守備にスタミナを使うより、攻撃に全力を注いでほしい」と話した。

 チームはここまで5連敗と、クラブワーストタイ記録まで1試合に迫っている。平山は「チームが勝ってないので手助けというか、(勝利に)貢献できればいいと思っています。今できることをやりたい」と、自分に言い聞かせるように言った。前泊のための移動バスでは気負いもなく、左最後部座席の「キングシート」に腰を下ろした。代表ではカズ、中田英氏らが座っていた席で、東京ではルーカスの専用席。今回はルーカスが出場しないため、出番も回ってきた。VIP待遇出場の平山が、チームを救うゴールをステップに、新天地で王道を歩んでいく。

<平山のJデビューまで>

 ◆トラブル 前所属ヘラクレスが国際移籍証明書発行を渋ったため、日本サッカー協会が登録期限を1日延長し、15日ぎりぎりで間に合わせた。

 ◆体重 ヘラクレスでまともな練習を行わなかったことから、体重はベストより3キロオーバーの89キロに。東京移籍後、連日の走り込みで、2キロ落とした。

 ◆デビュー見送り 17日のサテライトリーグ新潟戦に65分間、20日にはU−21代表のJ2神戸戦に60分間、翌21日にはチームに戻り、流通経大戦に45分間出場。ハード日程で調子を落とし、24日の鹿島戦デビューは見送られた。

 ◆休み 12日から合流し、完全オフは25日の1日だけ。オフは新宿で買い物。

 ※記録と表記は当時のもの