浦和が「KLM2ケタ得点そろい踏み」で、第2ステージ首位に立った。東京戦では、後半開始直後にPKで先制を許す嫌な展開になったが、後半32分に、途中出場のFW李忠成(30)が同点弾。これを機に2点を加点し、逆転で勝利した。FW興梠(K)MF武藤(M)に加え、李(L)も今季10得点目で、クラブ史上初となる「シーズン2ケタ得点×3選手」も、達成した。

 会心の1発が、試合の流れを一変させた。後半32分。李は左MF関根がクロスの構えに入ると、中央で右手を上げて呼び込んだ。DF丸山に左手で制されたが、強引に体をねじ込み、体を投げ出しダイビングヘッド。「苦しい時こそ決めるのが自分の価値。決めないと、李忠成がすたる」。夜空に向かって咆吼(ほうこう)し、両拳を突き上げた。

 苦しい流れだった。ハーフタイム。年間、第2ステージともに首位の川崎F敗戦の報を聞いた。後半開始から出場の李が加わっての円陣では「向こうは負けた。行くぞ!」との声も上がった。しかし、開始直後にPKで失点。冷静な司令塔MF柏木も内心「あかん流れや」とほぞをかんだ。

 東京が5バックに切り替えたことで、逆に攻勢に転じることはできた。しかし、FWズラタンのシュートがクロスバーをたたくなど、1点が遠かった。それだけに、李のゴールは大きかった。チームは2点を加点し、一気に逆転した。

 浦和での東京戦は、これで6戦4発。第1ステージの東京戦でも、0-2の局面で得点。連敗を3で止める逆転勝利に導いた。逆境での強さは、古巣相手だけというわけではない。昨季天皇杯準決勝柏戦でも、延長後半終了間際に決勝弾を決めた。

 ピッチ外でも、勝負強さや強心臓ぶりは証明されている。5月には三鷹市のゴルフコンペに一般参加。見ず知らずの参加者の中で、プレーする重圧などないかのように、人生ベストスコアの「80」を記録し、150人中4位に入ってみせた。

 「苦境で決めるのが自分の価値」という言葉に偽りはない。そして浦和加入後、初の2ケタ得点。興梠、武藤に続く今季10得点目で、クラブ史上初の「3選手2ケタ得点」を記録した。それでも李は「まだまだ試合は続く。勝ち点2差を追うためにも、もっとゴールを」と先を見据えた。【塩畑大輔】

 ▼2ケタ得点がチーム3人 浦和FW李が今季10得点目。今季の浦和はFW興梠、MF武藤も10得点以上を挙げており、年間3人が2ケタ得点はクラブ史上初。年間2人は過去に6度記録されていた。今季は神戸もレアンドロ、ペドロ・ジュニオール、渡辺のFW3人が10ゴール以上をマーク。現行の18チーム制となった05年以降の最多記録は06年の川崎Fの4人(ジュニーニョ、我那覇、谷口、中村)。