「カワサキの35歳」の一撃で、川崎Fが年間勝ち点の首位争いに踏みとどまった。日本代表ハリルホジッチ監督が視察する中、日本代表バックアップメンバーのMF中村憲剛(35)が、試合終了間際に広島を振り切る貴重な追加点を決めた。

 1-0で迎えた後半ロスタイム。広島はCKを獲得すると、GK林も前線に上がった。しかし、相手ボールを奪うと一気にカウンター。最後は中村がゴール右隅に冷静に流し込み試合を決めた。1日に左股関節外旋筋肉離れで全治3週間と診断されたが、負傷明けとは思えない体力で今季9点目をもぎとった。

 中村 意外と体力が余っていて自分でもビックリした。絶対チャンスだと信じて走った。ここぞという時に最後しっかり決められたのは自分の成長。年は関係ないなと。

 ラストパスを受ける際、先制点を決めたMF森谷と動きが重なったが「どけ」と“強権発動”。「どけと言った手前、外したら何言われるか分からないと思った」と苦笑し「うまくフェイントをかけてコースをつくれた」と振り返った。残念ながら、ハリルホジッチ監督は帰路についた直後のプレーだったが、十分なアピールになったはずだ。

 今季限りで退任する風間監督には、戦術以前に「足を磨け」と教わった。「もう1度、技術を見つめられた。うまくなるんですよ、プロでも。それを知れたのは今後の人生でも大きい」。35歳にしてなお上り坂のベテランが、クラブ史上初のタイトルへまい進する。【岩田千代巳】