広島は21日、元日本代表FW佐藤寿人(34)が来季からJ2に降格する名古屋へ完全移籍することを発表した。佐藤はプロ6年目だった05年に広島へ加入。12年間在籍した。主力として12、13、15年と3度のJ1優勝に貢献。しかし、今季は19試合で4得点と出場機会に恵まれていなかった。

 佐藤はクラブを通して「広島に来てから12年。苦しい時、悲しい時、12番目の選手達がいつも大きな大きな声援で僕を支えてくれた。そしてたくさんの歓喜の瞬間を共に過ごせたことは、自分の一番の喜びになった。大好きなクラブでプレーすること、大好きな広島で生活することが、今回の決断でできなくなるのはとても残念」と思いを吐露。

 移籍については「ホームでの東京戦で敗れ、CS出場への可能性が消滅したとき、チームのチカラになれなかったことが悔しく、来季はどんな役回りでもやり、広島での現役生活を全うしようと考えていた。その中で今回、名古屋から話を頂き、自分の中で選手としてまだまだ戦いたい、勝ちたい、ゴールを決めたい、チームのために体を張りたい。自分のためにチャレンジしたい、という気持ちが強く、移籍を決断した」と明かした。

 広島の織田社長も声明を発表。広島で愛された佐藤の移籍に「佐藤寿人選手とは、シーズン中から来季についての契約を打診し、名古屋から正式なオファーを受けた後も、引き続き残留を要請して参りました。しかし、彼のアスリートとして、より多くの出場機会を求めたいという思いは強く、クラブとしても苦渋の思いで、彼の意志を尊重することにいたしました」と説明し、サポーターへ理解を求めた。