J1復帰した清水のエースFW大前元紀(27)が退団し、J1大宮に完全移籍することが9日、決定的となった。既にクラブ間で基本合意に達しており、早ければ今日10日にも正式発表される見通しだ。今季限りで契約満了を迎える大前はクラブ側から契約延長を提示。昨年11月29日に臨んだ1回目の契約更改から慰留され続けてきたが、年俸や契約年数など条件面で折り合いがつかなかった。

 08年に流通経大柏から清水に新加入した大前は11年からレギュラーに定着。リーグ全34試合に出場を果たしチーム最多の8得点を記録した。翌12年も全試合に出場し、同年のシーズン終了後にはドイツ・デュッセルドルフに移籍。13年夏に清水に復帰すると、16年は肋骨(ろっこつ)骨折と肺挫傷で長期離脱しながら、29試合18得点をマーク。J1復帰に貢献していた。初めて主将も務めるなど、クラブの顔としてチームをけん引し続けてきた。

 大前にとって、国内移籍は初めてとなる。8年半在籍した清水に対し「ここまで成長できたのも偉大な選手たちとプレーできた清水のおかげ」と感謝するなど、クラブ愛は強い。一方で以前から「日本代表を目指したい」と目標も掲げてきた。プロ10年目を迎える今年。28歳を迎える年齢も考え、清水のエースは新天地で挑戦する決断を下した。

 ◆大前元紀(おおまえ・げんき)1989年(平元)12月10日、神奈川県生まれ。08年流通経大柏から加入。13年にドイツ・デュッセルドルフへ完全移籍し、同年夏に清水復帰。J1通算163試合48得点。J2通算29試合18得点。167センチ、68キロ。家族は夫人と3男。血液型O。