名将もうなった。仙台は4日、宮崎市内で大宮と練習試合(45分×4)を行い、計5-5で引き分けた。レギュラー組で臨んだ1、2本目(1試合目)は3-1で勝ち越して終えた。1試合目を視察した、元仙台監督で日本代表・手倉森誠コーチ(49)は、新布陣「3-4-3」の出来栄えを高く評価した。渡辺晋監督(43)も、前回(1月31日)のJ2大分戦からの進化を認め、好感触をつかんだ。

 震災翌年に仙台を2位に導き、リオ五輪では監督を務めた手倉森氏は「いい仕上がり具合。あのシステムに合うメンバー構成だった」と、後輩指揮官のサッカーを高く評価した。1、2本目の90分は完全に仙台ペースだった。1分にFW石原直樹(32)が左足で決めて先制。12分にはMF菅井直樹(32)のクロスを、MF中野嘉大(23)が走り込んで右足で合わせて追加点。2本目の30分にFW西村拓真(20)が右足で3点目を決めた。

 「シャドーとウイングバック(WB)がこの布陣ではキー。今日は機能していた」とも語った。1試合目、シャドー陣は2得点の大活躍。2点目はWB同士の連係による得点で、大宮渋谷監督も「やられたよ」と舌を巻いた。また4-4-2で臨んだ大宮に対して、手倉森氏は「富田(晋伍=30)がボールを奪い攻撃につなげた」。主将のゲームコントロールを絶賛した。

 高評価は、大分戦の失敗があってこそだ。大分戦は、ポジショニングを間違えての失点が目立った。以降、新布陣での選手の立ち位置をより重視した。渡辺監督は「あの反省を踏まえて、相手がどこで来るか考えてプレーできたと思う」とたたえた。

 WBが前線に上がった時にカウンターを狙われる新布陣のデメリットも、3バックの奮闘により解決されていた。素早く駆け上がった相手の動きを見て、最終ラインをそろえることで、オフサイドを連発させた。3バック中央でプレーしたDF平岡康裕(30)は「狙って取れた」と満足した。

 昨季5位の主力組を相手に押しきった。渡辺監督は「準備の早い守備は素晴らしいものがあった。ポジティブにとらえたい」。偉大な指揮官の評価を得て、課題も確実に解決。大収穫の一戦となった。【秋吉裕介】