右半膜様筋腱剥離で戦線離脱していた、J2湘南ベルマーレFW端戸仁(26)が、負傷した16年8月13日の広島戦以来、約半年ぶりに実戦復帰を果たしてゴールを決めた。

 端戸は後半から1トップとしてピッチに立つと、前線に張ってチャンスをうかがった。同9分に右からのクロスボールに反応すると、ゴール正面で豪快に頭でたたき込んだ。「相手のレベルが、そこまで高くなかったというのもあったんですけど、自分にとって半年ぶりのゲームだったので、しっかり準備して入れた。しっかり点に絡めて、ボールタッチも悪くなかった。公式戦に出られるようにしていきたいです」と復帰の第1歩を踏み出した思いを、かみしめるように語った。

 当初は、45分間出場の予定だったが、後半開始から30分間、プレーした。前線から積極的にボールを追うのはもちろん、中盤に降りて組み立てに参加するなど精力的に走った。「このチームでゲームに出るには、とにかく走らないといけない。自分に、いいことばかりしていても勝てない。攻撃以外の部分でもけん引しないと…。今日、出来る体力の中で、トレーニングの一環と思って試合をやりました」と振り返った。

 リハビリを続けた半年間は、肉体よりも精神的に厳しかったという。広島戦で負傷後、様子を見ていたものの痛みが引かず、手術を選択。それから、ここまでの日々を「葛藤」と表現した。

 広島戦が終わってから、なかなか、良くならなくて6週間、待ったんですけど…結局、手術。J2降格や(準々決勝に進出した)天皇杯…みんなの試合を見ているだけなのは相当、つらかった。(今年の)スペインキャンプも、みんながすごく、いいゲームをしているのに、それも見ているだけ。早くプレーしたいな、という気持ち…いろいろなものと葛藤してきた半年だった。自分が引退した時に見ても、多分、サッカー人生で1番、長いクラスのケガの期間になると思うので、無駄じゃなかったと言えるように今後もやっていきたい。

 まだ試合で戦う体力が戻っておらず、今後は実戦を繰り返す中で、公式戦を戦うことの出来る体力を作り上げていくつもりだ。「みんなと本当に久しぶりにやることが出来て、サッカーは楽しいと思った。自分が公式戦に出て、勝つという喜びを味わうためにリハビリをやってきた。早くチームの力になれるように練習から頑張りたい」。湘南ベルマーレに関わる誰もが、復帰を待ち望んでいた端戸が帰ってきた。【村上幸将】