期待の新人が、開幕ダッシュを加速させる。4日の第2節ジュビロ磐田戦。ベガルタ仙台の法大卒新人DF永戸勝也(22)は、スプリント(時速24キロ以上で走った回数)が30回を計測した。同節ではリーグ3位で、クラブ内では1位。運動量が問われるウイングバック(WB)との相性の良さを見せた。自信も宿しつつあり、次はプロ初得点へ気合を入れた。

 “スプリント王”になった永戸は驚いた。「本当ですか?(記録は)知らないです」。走行距離もチーム4位の11・434キロ。身体能力を数字で証明した。「これをベースにしていければ」とうなずいた。右WBのMF菅井直樹(32)も26回とクラブ2位。積極的に走って攻守にわたる活躍を見せる両WBは、クラブに欠かせない存在になった。

 渡辺晋監督(43)は「30回は大したもんだ。プロのスピードになれるのは大変。そういうものを感じさせない」と新人離れしたプレーを評する。スプリントはあくまでもダッシュの回数。自陣側へ走る回数もカウントされる。ただ「前向きにプレーしていた。いい方向に間違いなく」と捉えた。試合を優位に進めたことも、今回の記録を後押しした。「60%ボールを保持していた。前向きにボールを配球しているから、彼が走れた」と分析した。

 磐田戦では後半から持ち味のクロスを上げて、開幕戦同様に精度の高さを見せた。次はプロ初ゴールが期待される。ここまでの2得点はFW陣によるもの。渡辺監督は「もっと勝也と菅井を生かすすべを構築して、精度を高めていかないといけない。それができれば(得点の)チャンスはやってくる」。さらに攻撃の幅が広がることを期待する。

 永戸も初得点を狙い続ける。「常にゴールを狙わないと、決められるところも決められない」と、自らに言い聞かせるように語った。MF中村俊輔(38)との初対決は、「あまりやられなかった印象がある」。手応えはつかみつつある。快進撃はまだまだ続きそうだ。【秋吉裕介】