サガン鳥栖の元日本代表ＧＫ権田修一（２８）が、古巣との初対戦で泣き崩れた。１６年１月まで所属したＦＣ東京に３失点。１－１の後半３１分、強引に飛び出してハイボールをキャッチできず勝ち越し点を献上。同４１分にはＤＦとの連係ミスで３点目を許した。「元気な姿を見せたかったけど…。僕の責任」。残り２分から追いついたが、気負って自滅した。

　その試合後だ。東京の応援席へ歩み寄ると膝から崩れ落ちた。号泣。ぐしゃぐしゃの顔で両手も地面につき、顔を覆い、最後は手を合わせて謝った。ここまでブーイングしてきた元ファンも、尋常ではない様子に拍手を送るしかなかった。

　「この場所でダメになって…」。１５年７月２９日のベガルタ仙台戦の直後、心に異変が生じ「オーバートレーニング症候群」と診断された。以来の味スタ。「糸が切れたというか、普通ではいられなかった」と平常心を保てず、取材中も涙を流した。

　１６年はオーストリアのＳＶホルンでプレー。復調したオフに東京から復帰オファーを受けたが、欧州移籍を模索して断った。それなのに戻ったのは鳥栖。「怒る方々の気持ちも当然。人生で一番つらい試合」で３失点。「決めた人生に後悔はない。でも、今は頭の整理がつかない」。下部組織から育った古巣との一戦を、まだ笑顔では終えられなかった。【木下淳】

　◆権田修一　ごんだ・しゅういち。１９８９年（平元）３月３日、東京都世田谷区生まれ。中学から東京の下部組織に所属し、高校３年の０６年にトップ昇格。１２年ロンドン五輪４強。１４年Ｗ杯ブラジル大会代表。国際Ａマッチ３試合。今年１月１４日に東京との契約を解除していた。１８７センチ。