J2首位の東京ヴェルディと、1年でのJ1復帰を目指す湘南ベルマーレの直接対決は、前半から撃ち合いとなった。

 先制したのは東京V。前半16分、左からの浮き球を湘南DFがクリア。そのこぼれ球を拾ったFW安西幸輝が、GK秋元陽太が雨にぬれた芝に足を滑らせて転んだのを見逃さず、ミドルシュートを決めた。

 5分後、すかさず湘南が追いついた。U-20(20歳以下)日本代表MF神谷優太のパスを受けたMF菊地俊介が、ペナルティーエリア外側から、右足で巻くようなシュートをゴールに突き刺した。5試合連続完封勝利中だった東京Vの堅守を、J2屈指の攻撃力を誇る湘南が打ち破った。

 そして前半33分、湘南が逆転した。MF石川俊輝のパスを受けたFW山田直輝が、ペナルティーエリア内にドリブルで進入し、シュート。GKが弾いたこぼれ球を、FWジネイが落ち着いてゴール。ジネイを中心に、歓喜の輪が出来た。

 前半の途中までは、堅守を誇る東京Vがセカンドボールを拾い、パスをつなぎ、個人技を軸にした伝統の攻めで、湘南のお株を奪う攻撃サッカーを見せた。その中、湘南は同点に追いついて以降、神谷の好パスなどを軸に落ち着きを取り戻すと、本来の連動性あふれる攻撃で流れを引き寄せた。前半は湘南の1点リードで折り返した。

 後半も、湘南の連動性あふれる攻撃は止まらず、流れは一気に湘南に傾いた。後半9分、神谷の左CKを菊地が頭で押し込んで、この日2点目を決めて3-1。曹貴裁監督(48)が、ハーフタイムに「最初の10分を大事にしよう」と指示を出した通りに決定的な1点を決めた。

 一方、東京VはFW高木善朗を梶川諒太、MF高木大輔をFWドウグラス・ビエイラに交代。攻撃の軸となる高木兄弟を一気に外し、FWアラン・ピニェイロの1トップからブラジル人2トップに切り替えた。後半23分、ビエイラがドリブルからの強烈なシュートを放つなど反撃に出た。

 そして後半ロスタイム3分にMF安在和樹のゴールで1点差としたが、湘南が3-2で逃げ切った。【村上幸将】