湘南ベルマーレMF菊地俊介(25)が、右ひざ前十字靱帯(じんたい)損傷で全治8カ月と診断され離脱した、FW高山薫(28)から預かったキャプテンマークに応える2発で、チームを勝利に導いた。

 菊地は1点を追う前半21分、U-20(20歳以下)日本代表MF神谷優太のパスを受けると「左でいこうと思ったけれど、右足のコースが見えたので、ピッチも雨でぬれているので速いボールで」と、右足で狙いすまして決めた。2-1と逆転した後半9分には、神谷の左CKに飛び込み、頭で合わせた。

 試合2日前の7日に、曹貴裁監督から、高山が不在の間、チームのキャプテンになるよう命じられた。副主将としてキャプテンマークを巻いた前節4日のカマタマーレ讃岐戦では0-3と大敗。それを受け、高山に了承を取った曹監督から「副主将としてキャプテンマークを巻いてやるんじゃなく、主将としてピッチに立ちなさい」と声をかけられた。「やります」と即決で引き受けたという。

 讃岐戦では中央を固められて、横パスやバックパスが多くなり、縦に攻める湘南スタイルを見失った。鋭くスピーディーなドリブルと決定力を併せ持つ、高山の不在が響いた形になったが、菊地は「ボールを持った時は前しか見ない。速く攻める。(ゴール前を)締められても無理に入れる」という、湘南スタイルの復活しかないと感じていた。

 14年に入団し、今季で4季目。讃岐戦敗戦から1週間、「曹さんのサッカーは理解している。薫君がいない中で、周囲に声をかけるのは意識して」(菊地)取り組んできた。その結果、東京Vに前半16分に先制を許すと、菊地の周りに自然と選手が集まるなど、菊地がキャプテンシーを発揮したことが勝利のカギとなった。

 菊地自身、1年前に高山と同じ右ひざ前十字靱帯(じんたい)損傷で全治8カ月と診断され、終盤に復帰した経験を持つ。「大きいケガなので、早く復帰してくれることを願っています。薫君も落ち込んでいると思う。試合後、お見舞いに行こうと思います」と、高山を気遣い、競技場を後にした。【村上幸将】