ジュビロ磐田はアウェーでヴァンフォーレ甲府と引き分けた。後半18分、MF宮崎智彦(30)が2枚目の警告を受けて退場。数的不利となったが、今季3度目の0封でスコアレスドローにした。公式戦では6試合連続負けなし(4勝2分け)。勝ち点を15に伸ばした。

 名波浩監督(44)の言葉が、すべてを物語っていた。「我々が(勝ち点)1を拾って、相手が2を失ったゲームだった」。90分間のシュート数は、甲府の10本に対して今季最少の5本。負けてもおかしくない状況を耐え抜き、敵地で勝ち点1をつかんだ。

 気温は27・2度。暑さと連戦の疲労が重なり、序盤から精彩を欠いた。決定機は、MF中村俊輔(38)のスルーパスにFW川又堅碁(27)が抜け出した後半17分の1度だけだった。前節北海道コンサドーレ札幌戦を腰痛で欠場した中村俊は「0で終わったことは自分の責任でもある。特に前半は攻撃のスイッチが入らなかった」と言った。川又と共にJ1通算150試合出場を達成したMF松浦拓弥(28)も、厳しい表情で振り返った。「相手の危険なエリアでどうパスを受けるのか、もっと考えなければいけなかった」。

 チームの状態に追い打ちをかけるように、後半18分にはMF宮崎が退場で数的不利になった。後半からU-20(20歳以下)日本代表FW小川航基(19)を投入し、川又との2トップで先制点を狙いにいった指揮官の狙いも崩れた。

 だが、結果は4月16日のサガン鳥栖戦から公式戦6試合負けなし。名波監督は「3時間の移動、過密日程の中で1を持って帰れることは悪いことではない」と顔を上げた。中村俊も「(年間)34試合あれば、こういう試合もある。アウェーで勝ち点1を取れたことはポジティブに捉えていい。次はもっとコンディションを上げて、攻撃に迫力を持たせたい」と言った。

 通算勝ち点15は、昨季10節終了時と同数値。ペースを上げるべく「拾った1」を次節ホーム川崎フロンターレ戦につなげたい。【前田和哉】