サガン鳥栖の元スペイン代表FWフェルナンドトーレス(34)は、Jリーグ6戦目となった川崎フロンターレ戦でもノーゴールに終わり、シュートも1本も打てなかった。

 試合後、トーレスは「川崎Fは今までで一番、良かったチームだと思います。すごくいいプレーをするチームです」と、川崎FがJ6戦目で最も強かったチームだと認めた。その上で「我々は良く守り、戦い、ドローで良かった。みんな、良く戦った。川崎Fはランクも上位だから、いいドローだった」と、勝ち点1を取れたことが、まず大事だったと素直に喜んだ。

 試合について聞かれると「カウンターアタックをしたかったけれど…チャンスもあまり作れなかった。でも、このドローは本当に大事だ」と口にした。「なかなかクロスボールが来なかったが」と聞かれると「相手が、すごく良いプレーをしてくるチームだから、我々は難しかった。取りあえず、守った方が良かった。僕に、あまりボールが来なかったのは、それほど大事じゃないと思う。取りあえずドローが大事だ」と守り切れたことの大事さを繰り返した。

 一方で、フル出場こそしたが、体の重さを感じさせた。前半34分、後方からの浮き球パスをDFが弾いたこぼれ球がペナルティーエリア手前に転がったが、動きだしが遅れてしまい拾いに行けなかった。拾っていれば、ラストパスに相当する“絶好球”だっただけに、トーレスは自らにいら立ったのか、両手で頭をたたいて気合を入れた。

 直後の同36分には、ペナルティーエリア右手前にいたFW金崎夢生が落としたボールを、左サイドを走るFW小野裕二に鋭く、正確で強いサイドチェンジを1発で通した。後半36分にも途中出場のDF安在和樹がドリブルで攻め上がるのと並走し、前線に飛び出たが見せ場はそれくらいで、後半は運動量が落ち、相手GKのゴールキックを競り合うことに終始した。

 コンディションについて聞かれると「(日本に)来る前、1カ月くらい(チームで)練習できなかった。でも私のコンディションも良くなっているし、チームのみんなも良くなっているから、今日も良く走っていた。良くなっていると思う」と前向きに語った。

 Jリーグにフィットしてきたかとの質問には「Jリーグはいいレベルで、全部のチームが同じレベルでバランスが良く、難しいリーグだ。ハードなリーグだと知っていたから、Jリーグでプレーしたかったんだ」と言い、笑みを浮かべた。

 帰り際にJリーグとスペインリーグ、プレミアリーグのフィジカルコンタクトの差は? と質問が飛んだ。トーレスは「どこのリーグも違う。やり方はちょっと変わるけれど、サッカーの中にフィジカルコンタクトはあるものだから…勝つしかない」と語った。そして、日本語で「アリガトウゴザイマス」と報道陣にあいさつしてから等々力競技場を後にした。【村上幸将】