<J1:鹿島0-2広島>◇第34節◇7日◇カシマ

 昨季初優勝の原動力となった広島の堅守は今季も健在だった。オフに日本代表経験を持つDF森脇が浦和に移籍したが、他クラブからの補強ではなく、既存選手の力を伸ばすことで解決した。

 好例が今季3バックの右サイドで定着した塩谷だ。昨季はJ1で3試合の出場だった25歳は好機をつかみ、空中戦で強さを発揮。攻撃にも積極的に絡み、5月の大分戦の決勝ゴールを含めて3得点。昨季無得点のDF黄錫鎬も今季3得点と要所でいい働きを見せた。

 選手の推定年俸は最も高くて佐藤の5500万円で、昨年度のチーム人件費約14億円はJ1の平均レベルだ。それでも下部組織の育成力を高めることでチーム力を底上げし、19歳の野津田らをアジア・チャンピオンズリーグなどで場数を踏ませて、急成長させた。

 初優勝が大きな自信と責任感を植え付け、森保監督も「精神的に一皮むけた」と言う。中国地方唯一のJ1クラブはアウェー戦のたびに長距離移動を強いられるが「王者として言い訳できない」と選手は口をそろえた。

 何より強固な結束が光った。休日に映画を一緒に見に行ったりする仲の良さは、ピッチ上での意思疎通に生きた。夏に5試合白星から見放されてもぶれず、残り2戦で首位と勝ち点5差になっても、誰一人諦めなかったからこその連覇だった。