<国際親善試合:バイエルン4-2浦和>◇31日◇埼玉ス

 バイエルンのドイツ代表FWポドルスキ(23)が大暴れした。7月31日、埼玉スタジアムでの浦和との親善試合に90分フル出場し、ハットトリックを決めた。同僚にクローゼ、トニら世界トップレベルのFWがひしめく中、今季就任したクリンスマン新監督に、スタメン獲得を強烈にアピールした。バイエルンは4-2で勝ち、08-09シーズン開幕前に、プロチーム相手のテストマッチ3戦目にして初勝利を挙げた。

 技術とパワーで、昨季アジア王者の守備陣を切り裂いた。前半20分、MFシュバインシュタイガーのループパスで裏に抜けると、ポドルスキは目いっぱい伸ばした左足で、GK都築よりも一瞬早くつま先に当てた。前半42分に追加点を決め、後半17分には豪快な左足ボレーを突き刺した。

 「勝ててうれしい。自信をつけて新しいシーズンに弾みになった」。そう話す表情に笑顔はなかった。ハットトリックの大活躍も、今季の先発の座は確約されてない。同僚に、ワールドクラスのドイツ代表クローゼとイタリア代表トニがいる。06年W杯でともに戦ったクリンスマン新監督から「3得点すべてのゴールが素晴らしかった。自信を持って欲しい」と称賛された一方、「ウチには3人の素晴らしいFWがいる。ポジション争いは簡単ではない。そこで、ルーカス(ポドルスキ)は戦っていかないといけない」。だからこそ、海外の強豪クラブが手を抜きがちな日本での親善マッチにも、1人気迫が違った。

 ドイツ代表として6月の欧州選手権準Vに貢献。シーズンの最後の最後まで戦い抜き、今季はチームへの合流が遅れた。だが、7月30日に来日し当日昼からイベントに参加し、夕方にはトレーニング。日本到着からわずか33時間後にはピッチに立ち、猛烈にアピールした。10代で代表に入り、06年にはケルンから強豪バイエルンに移籍と、一見エリートコースを歩みながらも、てんぐになることはない。ドイツ・ビルト紙の記者は「ルーカスは非常に愉快な人間で、何よりも謙虚。彼を悪く言う人はおそらくいないと思う。実力は説明する必要はないだろう?」と話した。

 チームは、今季3戦目にしてようやく初勝利を飾った。リーグ、カップ戦の2冠連覇と欧州制覇に向け、FW陣の激しいレギュラー争いが、ポドルスキ個人ととチーム力を底上げしていくことになりそうだ。