前日本代表監督のイビチャ・オシム氏(67)が、自宅のあるオーストリアで「長期リハビリ合宿」に入っていることが9日、分かった。昨年11月に脳梗塞(こうそく)で倒れ、代表監督の職から離れた。だが、クラブ・代表を問わず現場への復帰を強く望む同氏は、帰省中も厳しいリハビリに取り組み、後遺症はほぼ完治した。総仕上げとして、まひの残る左腕を1カ月半の集中特訓で回復させる予定だ。10月中に予定される来日時に、完全復活した姿を日本のファンに披露する。

 現場復帰に向けての強い意欲の表れだった。マヒしていたオシム氏の左腕が、集中特訓でついに動きだしていた。日本のサッカー関係者は「長期合宿でマヒしている左腕の反応が、かなり良くなっているようだ」と明かした。

 同氏は8月中旬からグラーツ郊外のリハビリセンターに泊まり込み、2週間の集中トレーニングを実施。9月初旬に日本に戻る予定だった。だが担当医から「非常に経過がいい。このままリハビリを続ければ、まひの残る左腕の完治も見えてくる。リハビリ期間を延ばしたほうがいい」とのアドバイスを受け、長期合宿への切り替えを決意した。

 帰省直後には、体調を崩したこともあった。激しいリハビリに加え、取材や関係者との面会が殺到。疲労で、脳梗塞再発の危険性も浮上した。だが取材や面会を減らし、静かな環境のリハビリセンターで合宿を開始すると、体調は一気に回復。同関係者は「今は体調の不安もない。リハビリは順調そのもの」と太鼓判を押した。

 退院は9月末の予定。10月中に予定されている再来日までに、左腕が完治する可能性も高まってきた。体調が完全に戻り、現場復帰を表明すれば、国内外からオファーが来るのは確実だ。6月にはオーストリア・スイス共催の欧州選手権も生観戦。華麗なパスのスペイン、運動量のロシア、トルコなど、世界サッカーのトレンドも目に焼き付けた。新たな「オシムサッカー」のイメージは、十分に膨らんでいる。同氏の動向が再び注目を集めることは間違いない。