J2C大阪が究極のJ1昇格作戦を実行する。レビークルピ監督(55)が3日、今季限りで引退する元日本代表MF森島寛晃(36)を6日の最終愛媛戦(長居)でベンチ入りさせると明言した。引退の要因となった原因不明の首痛は完治せず、心肺機能も試合出場レベルに達していない。だが指揮官は、森島がベンチにいれば選手の士気も高まると判断。逆転での昇格へ、モリシが「切り札」になる。

 いるだけで力になる。C大阪が昇格の可能性を残す大一番に、森島のベンチ入りを決めた。残り1試合で仙台と勝ち点1差。森島がベンチに座っているだけで選手の士気が高まると判断した。レビークルピ監督は「彼の功績をたたえ、ベンチ入りさせることを決めた」と明言した。

 一方で「メディカルな部分に不安があり、長時間の出場は難しい」と指揮官は顔をしかめた。昨年3月に原因不明の首痛を発症してから、心肺機能は低下。出場すれば、けがをする可能性は他の選手よりはるかに高い。最後の花道にはリスクが伴う。だが、監督は森島の厚い人望にかけた。

 森島はこの日、全体練習に合流する予定だったが、約1時間の別メニュー調整と、5分ほどのパス練習しかできなかった。あとは戦術練習を見学し、試合に出るイメージを高めた。それでも、約1年ぶりにスパイクを履いてボールを蹴ったことで出場へ前進。「今までイボイボのやつ(運動靴)で練習していたから。いい感じ」と森島も笑った。

 体調を考慮すると、戦力的な期待はできない。だが、ベンチに座れば、ぶざまな試合をするわけにはいかない。早い時間帯で大量点を奪えば、出場のチャンスも高まる。「まだ(昇格の)可能性はある。チーム一丸となって勝ちたい」と森島。モリシのために―。心を1つにして、最高の花道を作ってみせる。【奈島宏樹】