闘将が「アビスパ大使」に転身する。福岡MF布部陽功(35)が13日、現役引退を決め、クラブとアンバサダー兼コーチの仮契約を結んだ。契約期間は来年2月1日から2年間。クラブは先月30日に戦力外通告とともに、スタッフ入りを打診。しかし、移籍オファーがあり、現役続行か前日(12日)まで悩み抜いたという。布部は「最終戦(6日、対湘南)と、セレモニーで心を動かされた。素晴らしい終わり方ができたと思っている」と、大声援で別れを惜しんだサポーターの存在が決断の背景にあったことを認めた。

 田部和良GM(47)は、新設のアンバサダー職について「クラブの顔として、市民、サポーター、スポンサー、行政などとの懸け橋になってほしい。クラブの正しい情報を、良い形で発信する役目もある」と説明した。布部は来年、J監督就任に必要なS級ライセンス取得を目指すため、クラブはコーチ職にトップや育成という担当を設けず、日程調整に協力する。「市民が誇れるクラブを、皆さんとつくりたい。選手の時と同じように、指導者としても将来は1番(監督)を目指すが、ピッチ外は知らないことばかり。勉強勉強の毎日で、現役の時より、もっと心身ともに戦わなければ」。第2のサッカー人生でも、布部の闘志が消えることはない。【佐藤千晶】