<プレシーズンマッチ:C大阪1-0G大阪>◇22日◇長居

 「8」の魂継承弾だ!

 J2C大阪の日本代表MF香川真司(19)が、ミスターセレッソへの惜別ゴールを決めた。昨季限りで引退した元日本代表の森島寛晃氏(36)の引退試合も兼ねたG大阪とのプレシーズンマッチ(長居)。前半7分に背番号「8」を受け継いだ香川が、決勝弾をたたき込んだ。森島氏は後半42分から香川と交代し、最後のプレー。「ミスターセレッソ」の鮮やかな継承セレモニーとなった。

 偉大な先輩へ、最高のプレゼントだった。前半7分、ボールは自然と香川へ、吸い寄せられる。こぼれ球を胸トラップし、右足でゴールへ流し込む。ミスターセレッソの象徴と言える背番号「8」をホーム長居で初めて披露した試合は、昨季まで「8」をつけていた森島氏の引退試合。価値あるゴールを決め、新ミスターセレッソを襲名した。

 香川

 やっぱり8番は重いですね。責任を感じながらプレーした。ゴールを決めることができたのは素直にうれしい。

 今年1月に壁に当たったと感じた。日本代表合宿で、得意のドリブルが通用しない。仕掛けても簡単に止められた。悩みながら、1月末に大阪へ戻った時、森島氏に「どうすれば、代表で力を出せるのか」助言を求めた。「何、悩んどんねん。思い切りやったらええやん」。軽く言われた言葉が特効薬だった。4日の親善試合フィンランド戦でゴールを決め、この日も結果を残した。

 森島氏を追いかけたのは02年W杯日韓大会からだ。FCみやぎバルセロナに所属していた中学2年の時、宮城スタジアムで行われた日本-トルコ戦を観戦した。大声援を受けピッチに登場した森島氏がまぶしく見えたのは今でも鮮明に覚えている。「森島さんのようになりたい」。夢はかない、昨年4月には初めて日本代表合宿に参加。C大阪では背番号8を受け継いだ。

 「人間的にも森島さんみたいになりたい。絶対にJ1に上がる」と熱く誓った。日本代表の岡田監督が視察した中で最高のアピールだったが「まだまだミスが多い。自分のプレーに納得していない」と反省も忘れなかった。謙虚な人柄も森島氏から引き継ぐ香川。まずはC大阪のJ1昇格に全力を注ぎ、その先には森島氏のようにW杯でゴールを決める自分の姿を思い浮かべている。【奈島宏樹】