09年の神戸は覚醒(かくせい)工場になる。今季就任したカイオ・ジュニオール監督(43)が24日「ノリカル」ことMF鈴木規郎(25)らの才能開花に自信を見せた。大久保、レアンドロの2トップが抜けた攻撃陣が気がかりだが、新監督はブラジルで心理学などを学んだ知識や経験を生かし、くすぶっていた選手の能力を発揮させる。

 同じ楽天がメーンスポンサーのプロ野球楽天の野村監督が再生工場なら、神戸は覚醒工場だ。カイオ・ジュニオール監督「鈴木は自信をつかめば、もっとすごい選手になれる」と力説した。愛称「ノリカル」の由来となったロベルト・カルロス(元ブラジル代表DF)ばりの豪快な左足のシュートにほれ込み、3トップの左に固定。「自分は消極的なところがあるので…」と話す鈴木の控えめな性格を見抜き、自信を持たせようとしてきた。

 その効果もあり「どんどんシュートを打つことを心掛けている」と鈴木は充実した表情を見せる。同様に3トップの右で起用される朴康造も、韓国代表に選ばれたころの輝きを取り戻しつつある。「先のことを見据えながら、勝者のメンタリティーを持つことが大切だ」と指揮官は強調する。

 クラブの目標はACL出場権獲得だ。大久保、レアンドロの抜けた穴は大きいが、くすぶっていた選手の能力を引き出せば上位進出も見えてくる。21日のJ2徳島との練習試合ではサイド攻撃が機能し2-1で勝った。「クロスが20本以上も上がった。いい試合だった」と指揮官。選手の「目覚め」とともに、神戸はACL出場へ近づく。【奈島宏樹】