<J2:仙台3-1福岡>◇第13節◇5日◇宮城ス

 仙台が福岡に3-1で逆転勝ちし、8シーズンぶりとなるチーム記録タイの6連勝を達成した。0-1で折り返した後半2分、MF梁勇基(27)が直接FKで同点弾をゲット。さらにFW中島、MF千葉も続き、後半開始から7分間の3連発で、試合をひっくり返した。梁は6連勝中に4得点5アシストと爆発。手倉森監督の公約通り、中2日の4連戦にも全勝した。

 導火線に火がついた。後半2分。MF梁がペナルティーアーク左で得た直接FKをゴール右隅に突き刺した。その1分後にFW中島が決勝弾を奪い、さらに4分後にはMF千葉が、梁のCKに頭で合わせた。同点、逆転、ダメ押し弾が7分間に凝縮され、お祭り騒ぎは最高潮に達した。

 立役者は梁だ。4月26日の熊本戦で2本の直接FKを決めており「今日も、熊本戦の1発目に近い位置だったんで自信はあった」。主審の笛が鳴っても、すぐには蹴らない駆け引きも奏功した。これで6連勝中は4得点5アシストの大爆発。アミノ酸やビタミンCの摂取を欠かさず、中2日の4連戦中は練習の一部を免除されるなど体調回復に努め、結果を出した。

 チームも成長した。優勝候補の本命-。そう評されて開幕を迎えたが、序盤に3敗し9位に沈んだ。手倉森監督は「こんなはずじゃないと皆が思った。3敗が薬になった」と話す。4月12日のC大阪戦に1-2で敗れた後、イレブンは45分間の緊急ミーティングを実施。「自分たちを過大評価しすぎ」「圧倒的な勝利はいらない。手堅い1勝を狙おう」などと意見を出し合い、おごりを消した。

 指揮官の采配も上昇気流に乗った。手倉森監督は、普段は先発が多いMF永井を後半から投入し逆転劇を演出。「永井には『ボールを収めてくれ』と言った。持ち味の攻守の切り替えが後半に生きると思った」と狙い的中。永井も「采配の妙を感じた。去年と違って、求められる役割を明確に伝えてくれるから」と手応えを口にした。

 首位湘南が勝ったため奪首こそ持ち越したが、梁は「今は順位を気にしない」と自然体。手倉森監督も上昇気配に慢心せず「今日は前半がダメだったから選手も浮かれてない。もっと勝ち続けたい」と引き締めた。チーム新の7連勝へ、仙台の足元が固まってきた。【木下淳】