<ナビスコ杯:浦和6-2大宮>◇13日◇予選リーグA組◇埼玉

 浦和が6-2と大宮に大勝し、ナビスコ杯A組首位突破を決めた。けが人続出の中、前日12日に右臀部(でんぶ)肉離れから復帰したばかりのMF山田直輝(18)が、前半38分に大量得点の口火を切る先制ゴール。同部の負傷で日本代表から離脱していたが、来年のW杯本番に向けた再スタートの試合で、大器らしさを示した。

 とっさの場面でも、冷静に、当然のように決めてみせた。前半38分、ゴール前にいたMF山田直は、FW原口を経由したMF細貝のパスを、右足を目いっぱい伸ばして拾った。目の前にはGKが迫る。「シュートを打とうと思ったけど、(GKが前に出てきて)入らないと思って」。1度左にかわしてから、左足を振り抜いた。試合後、「今ここで言うのは簡単だけど、自分でもよく落ち着いてたなと思う」と振り返ったほどの技あり弾だった。

 序盤は攻めあぐねていたチームが、この先制弾で勢いに乗り、今季公式戦最多の6得点。DF山田暢は「最初は、後ろからパスの出しどころがなかった。でも、いいところで直輝が点を取って、リズムが良くなった」と、苦しい状況を打開した18歳を絶賛した。

 スクランブル出場らしからぬ、見事なプレーぶりだ。5月30日の日本代表の練習で、右臀部(でんぶ)を肉離れ。代表を離脱し、浦和の全体練習に合流できたのは、12日だった。それがフィンケ監督から「リスクを負って」と、先発起用された。後半11分に退いたものの、攻守に存在感を示すには十分だった。

 最終ラインまで戻って守備をしては、駆け上がって相手DFの背後を突く。激しく動き回るため、小学生時代に所属した北浦和サッカースポーツ少年団では、ポジションが固定されていなかったほど。GK山岸は「チームはだいぶ助けられている」と信頼を寄せる抜群の運動量は、欠かすことのできない浦和の「武器」となっている。

 日本代表がW杯出場を決めた時、ピッチにもベンチにもいなかった。悔しかった分、既に気持ちは来年の本大会に向いている。「レッズで自分の良いところを出し続ければ。その結果でW杯に行けるか、行けないかになる。まずは、レッズで結果を出したい」。新星は、自分の南ア行き切符をつかむべく、再スタートを切った。【今井恵太】