<J1:清水4-1山形>◇第14節◇20日◇アウスタ

 

 W杯予選のため中断していたJ1が約1カ月ぶりに再開し、日本代表勢が活躍を見せた。6日ウズベキスタン戦で決勝ゴールを決めた清水岡崎慎司(23)は、山形戦で1ゴールを挙げ、4-1の勝利に貢献。17日のオーストラリア戦から中2日の過密日程にも、左サイドMFで志願の先発出場だった。後半6分、相手DF後方に抜け出し、サイドネットに突き刺した。1年後のW杯本番に向けたサバイバルレースで、強烈なアピールとなる一発だった。

 岡崎が南アフリカのピッチに向け第1歩を踏み出した。1点リードで迎えた後半6分、DF岩下からのロングパス1本で相手DFラインの背後を奪った。胸で1トラップして完全に抜け出すと、ボディーバランスを保ったまま豪快に右足を振り抜いた。「(抜け出す)タイミングもばっちりだった。サイドMFとしての理想のゴールですね」と、納得の表情で得点シーンを振り返った。

 見えない敵との闘いもあった。日本代表での活躍で周囲からかかる期待は一気に高まった。この日、スタジアムで発売された「第2弾・オカ侍」グッズは、Tシャツ150枚と携帯ストラップ150個が即完売。「期待されるプレッシャーは感じた。その中で自分らしさをどれだけ出せるか。ピッチでプレッシャーと闘っていた。一応、最低限の結果は出せた」と、胸をなでおろした。

 オンリーワンの形を確立した。「自分がサイドに入れば前にいく力が増す。守備をする時は守備をするけど、若干3トップ気味。ほかの人とは違うサイドMFだと思う」。自らの特徴は「裏で勝負する」ということを日本代表で再認識した。1トップ、2トップのFWでも、この日のようにサイドMFに入っても同じだ。「パスが出てこなくても繰り返すことが大事。裏で受ける方が相手も怖がる」と点取り屋としての「岡崎スタイル」を貫く。

 アジア最終予選でW杯出場を手繰り寄せる決勝点を挙げても、自らの本戦出場は確約されない。試合後、矢野や興梠も得点したことを知ると「みんな同じ気持ちで戦っている。誰がW杯に行くかは分からない。点を取ることはFWとして当たり前のことで、続けられるかが、W杯への道を切り開くことになる」。約1カ月ぶりとなるJ復帰初戦で堂々の「凱旋(がいせん)弾」。岡崎が快調な再スタートを切った。【為田聡史】