<ナビスコ杯:鹿島1-0川崎F>◇15日◇準々決勝第1戦◇カシマ

 5日のリーグ川崎F戦で退場処分を食らった鹿島DF内田篤人(21)は、「雪辱戦」の後半38分、ロングスローでMF小笠原の決勝ゴールを演出した。第2戦は29日に行われる。

 勝利への気持ちを込めた一投が王者に勝利を呼び込んだ。同点で迎えた後半38分、内田が右サイドからロングスロー。ボールは曲線を描き、バウンドしてMF小笠原の頭にピタリと合った。決勝点を生み出すアシストに「(ゴール前の)ダニーロがつぶれて、こぼれればいいと思っていた。DFはこぼれ球が一番イヤだから」と振り返った。

 悪夢を振り払った。5日の川崎F戦で得点機会を手で阻止したと判定され、人生初の退場処分を食らった。「復帰戦」の相手はその川崎F。「まさかの因縁になっちゃったね。でも、こういう時は(次の川崎F戦を)早くやった方がいい」。自らのプレーで雪辱を果たした。

 ただでは起き上がらなかった。11日の大宮戦が出場停止となったため、8日から12日までは別メニューで体力強化に集中した。「やるとスローインが飛ぶようになる」と話していた重いメディシンボールをスローインで投げる練習も繰り返していたが「成果出たね。よかったよ」。この日の積極的なミドルシュートは「(別メニューで)シュート練習をしたから意識できた」。豊富な運動量は走り込みの成果だった。

 前半31分にはFW鄭の決定的なヘッドをゴールライン上で頭で阻止。「無失点でいこうと思っていたから」と淡々と話したが、陰のファインプレーとなった。これで4強進出に1歩前進。次は29日だが「次の戦い方が大事。守りに入らずやらないと」。内田の奮闘が、リーグ戦を独走する王者鹿島を、もう1つの栄冠へ1歩前進させた。【菅家大輔】