スタメンをはく奪されたJ2仙台FW中島裕希(25)が、反攻ののろしを上げた。7日、仙台・泉サッカー場で行われたU-18(18歳以下)日本代表との練習試合に出場。20分×3セットの2、3本目に出場し、計40分間でハットトリックを決めた。結果を出せず、最近2戦連続でベンチ外に追いやられているが、復調をアピール。前夜、首位奪取をスタンドで見届けた男が、スタメン奪還の第1歩を踏み出した。試合は4-0で仙台が勝利した。

 中島が、ジャパンブルーを切り裂いた。2本目の2分、左からのMF西山の折り返しを受けて右足で先制点。3本目の12分には、MF飛弾のスルーパスから2点目。圧巻は3点目だ。同19分、ハーフウエーラインからのMF曽我部のパスに左サイドで反応し、一瞬で相手DFの裏を突く。急停止で相手を振り切り、左足で決めた。

 相手は仙台杯国際ユース(9~13日、ユアスタ)に臨む18歳以下の日本代表。中島は「高校生相手だったし、気負いもなく落ち着けた」と素直に喜ばないが、猛アピールにはなった。手倉森監督は「今日の一番の収穫は、中島のハットトリック。20分で点が取れるんだから、45分ハーフの試合に戻れば20分刻みで得点してくれるでしょう」と、ご機嫌だった。

 前日の岡山戦。首位奪取の瞬間はスタンドで見届けた。今季はFW最多の27試合出場ながら4得点と波に乗れず、最近は2戦連続ベンチ外。中島は「首位だからといって喜べないし、危機感を持ってやらないと。自分は一から出直すだけ」と話す。指揮官も「外された悔しさ、自分を見つめ直す時間が必要」と、はい上がるのを待っている。

 岡山戦では、FWマルセロ・ソアレスが約3カ月ぶりの復活弾。FW中原も4試合連続ゴールと絶好調だが、逆に中島は奮い立っている。首位とはいえ混戦は変わらず、不測の故障者発生など“いざ出陣”の備えは必要。残り13試合に向けて中島は「出場停止のリーチも多いし、僕らサブ組の力が絶対に必要になる。今日の3得点が、スタメン奪還への第1歩です」と力強く話した。【木下淳】