<J1:柏3-2名古屋>◇第25節◇12日◇瑞穂陸

 名古屋が降格圏で苦しむ柏に敗れ、勝ち点3をプレゼントしてしまった。今季初の4連勝を狙ったが、攻撃が機能せず後手。1-3の後半44分に日本代表FW玉田圭司(29)がPKを決め、J1通算200試合出場と区切りの一戦で初の4試合連続ゴールは決めたが、勝利で飾ることはできなかった。

 初の4試合連続ゴールを決めた玉田も、うつむいて引き揚げた。敗者の足取りに力強さはない。「チームが勝たないと意味がない。下位のチームに負けちゃうのが、名古屋らしいよね」。9日のガーナ戦で得点を決めた好調さを初の4連発で証明したが、喜ぶことはできなかった。

 乗り切れない今季のチームを象徴するような試合だった。簡単に2失点。0-2の後半26分にDF吉田がヘディングで1点返したが、11分後にDFバヤリッツァがPKを与え、点差はまた2点に。終了間際の玉田のPKも、勝敗に影響を及ぼすことはなかった。

 連勝して上位争いに絡んでいくはずが、降格圏のチームを助けてばかりいる。今季「3弱」の18位大分、17位千葉、16位柏との対戦成績は1勝1敗。苦しむ相手に、しっかり勝ち点3を配給し続けている。J創設時から続く「弱きを助ける」お人よしカラーは変わらない。ストイコビッチ監督も「去年から同じ状況が続いている。とても奇妙なことだ」とお手上げといった口ぶりだ。

 期待のMFブルザノビッチが大ブレーキとなっている。8月の加入後、守備に難がある新司令塔を生かすために従来の4-4-2でなく3-5-2システムを採用しているが、右ウイングバックに回ったMF小川が守備に追われ、得点に絡む仕事ができない。大目標の川崎FとのACL準々決勝(23、30日)に向けて4連勝で勢いを増すもくろみも、もろくも崩れた。今季の名古屋は足踏みばかりが続く。【八反誠】