天下分け目の大一番へ、G大阪の西野朗監督(54)が、故障者続出の緊急事態に鬼のゲキを飛ばした。勝てば逆転Vに王手の可能性がある28日のアウェー鹿島戦に向け、26日は非公開調整。右足首痛で離脱中のDF山口と中沢に加え、この日の練習中にはDF加地亮(29)まで右足首をねんざし、鹿島戦出場が微妙になった。守備の要3人が負傷する最悪の事態に陥ったが、西野監督は「足を引きずってでも出ろ」と猛ゲキを飛ばした。

 西野監督が心を鬼にした。大一番を前に故障者が続出。練習前のミーティングで、指揮官は意を決したように話した。「どんなに足を引きずってでも出ろ。オレは使うつもりだ」-。守備陣は中沢、山口に加えこの日、加地までも右足首を負傷。3人とも症状は深刻だ。それでも天下分け目の決戦だけに、痛み止めの注射を打ってでも、強行出場させる方針だ。

 「思い」は選手に伝わった。足を引きずってクラブハウスから出てきた加地は、靴の上からも分かるほど右足首は腫れていた。それでも「どんな状況でも行く」と悲壮感たっぷり。練習合流を直訴しながらも認められなかった中沢は「鹿島を倒すために試合は出ます」。山口も「勝たないと終わり。全てをかけます」と誓った。

 傷を負ったまま強行出場する代償は少なくない。鹿島に勝っても、最終節千葉戦(12月5日)に敗戦なら限りなく優勝は遠のく。リーグ戦だけでなく、連覇がかかる天皇杯も残っている。だが「目の前の試合しか見えない」と加地。勝ち点19差からの奇跡の逆転Vへ。傷ついた体にムチを打って、鹿島戦の90分だけに集中する。【益子浩一】