スペイン1部リーグのレアル・サラゴサが、契約満了による今季限りでの浦和退団が確実な日本代表DF田中マルクス闘莉王(28)の獲得を検討していることが11月30日、分かった。サラゴサは今季1部に復帰。上位進出を見据えて高齢化したセンターバックの補強が急務で、闘莉王を有力候補に条件面を煮詰める作業を進めている。闘莉王は中東移籍が有力視されているが、オランダ1部トゥウェンテに続いて、あこがれのスペインからオファーが届けば、選択肢の幅がさらに広がりそうだ。

 世界屈指のレベルを誇るスペインリーグが、闘莉王獲得に動きだす。サラゴサ側は1月の移籍市場を見据え、センターバックの補強選手をリストアップ。中でも来年のW杯に出場する日本代表で主力DFを務める闘莉王に注目していた。世界基準の体格を生かした強靱(きょうじん)な守備と攻撃センスが、スペインのリーグ特性に適応できると判断。関係者によると、今後、正式オファーに発展した場合、年俸は70万ユーロ前後(約9000万円)からの交渉になるという。

 サラゴサは今季、2部から昇格して現在12位。元アルゼンチン代表DFアジャラ(36)ら主力センターバックが高齢化しており、今季1部残留(17位以上)と上位進出へ補強が急務な状況だ。さらに、クラブ経営の面で、日本人の人気選手獲得することで将来的なアジア進出のきっかけにしたい考えだ。既に今季中もC大阪MF香川慎司ら複数のポジションでJリーガーに関心を示していた。

 中東移籍が有力視されている闘莉王のもとには現在、オランダ1部のトゥウェンテがオファーを出している。国内では名古屋も獲得に動いており、本人は「オファーがあるのはありがたいこと。代理人に任せている」と話している。ただ、オシム、岡田体制下の日本代表で実績を重ねてきた人もボールも動くサッカーの本場、スペインへのあこがれはある。代表での僚友、MF中村俊輔もエスパニョールに所属。さらに、サラゴサには二重国籍でプレーするアルゼンチンやウルグアイ、母国ブラジル出身の選手も在籍しており、コミュニケーションの面でも新天地の環境としては恵まれている。

 スペインリーグでは1日から、他クラブの選手との移籍交渉が解禁。サラゴサからも正式なオファーが届く可能性がある。「じっくり考えて結論を出したい」という闘莉王。シーズン終盤を迎え、今後の去就が一層注目を浴びそうだ。