【グアム24日=永野高輔】DF藤山は変幻自在の“カメレオン選手”としてレギュラー奪取を狙う。コンサドーレ札幌グアムキャンプ5日目のこの日、新加入DF藤山竜仁(36)が、守備的ポジションすべてこなすオールラウンダーとしての活躍を誓った。前夜の面談でも石崎監督が「ボランチから後ろはどこでもやってもらう」とリクエスト。状況次第で特長を変えられる高い順応性を生かしながら、札幌の昇格に貢献する。

 何でもそろった「藤山百貨店」のオープンだ。“ミスター東京”としてJ11シーズン228試合出場を誇る36歳が、その経験を生かしたオールラウンダー性でフル稼働する。「その試合、その状況に応じたポジションが担えるようにやっていきたい」。1ポジションにこだわらず、指揮官の求め次第で自在に対応するプレースタイルでレギュラー奪取する覚悟だ。

 前夜に面談を行った石崎監督も「藤山にはボランチより後ろはどこでもやってもらいたい」と期待。本職のサイドバックやボランチ起用が濃厚も「4バックの真ん中もある」とセンターバックでの起用も示唆した。身長170センチとクラブ最小兵ながら「問題ない」と明言。執拗(しつよう)なマークと非凡なボール奪取能力を兼備するベテランを、守備の中核として使うプランまでも打ち出した。

 指揮官の期待に、藤山も全力で応える。昨季自身最少のリーグ4試合出場に終わっただけに「試合数が大事。使ってもらえるように自分にできることをしっかりやりたい」と言う。体格に恵まれているわけでもなく、超人的なスピードがあるわけでもない。ボールを追いかけるひたむきな姿勢でJリーグ界を戦い抜いてきたベテランが、ポジション問わず貪欲(どんよく)にチーム内競争に挑む。

 この日の午前練習後には最年少の18歳古田に話しかけ「体脂肪は減ったのか」と相談にのるなどプチ藤山塾も開講。前日の午後練習後、自分の役回りや立ち位置を明確にするため沖田コーチに全選手の特長を尋ねた。夜にはクラブ最古参MF砂川の部屋に遊びにいき、チームのムードを聞くなど“取材”も敢行した。

 ただの何でも屋じゃない。リサーチをもとに自分に必要な要素を導き出す緻密(ちみつ)な36歳。ここがかゆいんじゃ藤山…届くかのう…。はい石さん、ここですね…まかせてください…。石さんの「孫の手」のようオールマイティー「フジさん」が、札幌の弱点を埋めていく。