【グアム28日=永野高輔】古田の“片思い”がゴンに伝わった。J2札幌グアムキャンプ9日目のこの日、MF古田寛幸(18)がFW中山雅史(42)と初のマンツーマントークに成功した。大ベテランの強烈なオーラに圧倒され話しかけられずにいたが、午前のストレッチの時間に接近。わずか数分ながら、あこがれの先輩との会話を堪能した。中山の早期合流を願い「待ってます」と思いを打ち明けるなど、ゴン塾正式入門を心待ちにした。

 古田が夢だった“ゴン塾”を満喫した。練習終了後のストレッチタイム。この日、あこがれのスターが自分の左脇に座り、体を伸ばし始めた。数十センチまで急接近したチャンスを逃さなかった。昨季、高校生ながら出場2戦目でレギュラーを奪取したレフティーは、わずか数分の絶好機をしっかりモノにし、語り合った。

 「深い話はしなかったですけど、好きな人に話しかけるような緊張感があった」と漏らした、ドキドキの初トーク。磐田ユースのMF海田圭祐(17)が友人と話すと、これが意外な接点となった。中山が以前住んでいた静岡県内のマンションに海田一家も在住。幼稚園生だった海田が時折、中山家にビデオを見にくるなど親交があった。昨季はサテライトリーグで一緒にプレーしたこともあり、話は一気に盛り上がった。

 体をねじり、横になり、また起き上がりながら弾んだトーク。最後に古田は募る思いを口にした。「いつごろ(チーム練習に)復帰できるんですか」。ゴンさんと早くサッカーがしたい。24歳と親子ほど年の離れた古田からの“ラブコール”に、中山からは「今年中には」とジョークが飛んだ。「待ってます」と気持ちをはっきり伝え、初セッションは終わった。

 札幌の次代を担う18歳が、42歳中山との距離を一気に縮めた。キャンプは1週間が過ぎたが、食事の際も話すタイミングを逸し「早く話してみたい」と漏らしていた。26日に中山が初めてリフティングをした際も、遠目から眺め「何を考えているんだろうか」と踏み出せなかったが、ようやく2人で話ができた。

 「味わったことのないオーラ。うれしかった。ご飯を連れて行ってもらえるぐらいの仲になりたい」と古田は声を弾ませた。熱意を感じた中山からも「若いのに居残りで一生懸命練習して、すごい。まだ線が細いからどう鍛えるか。いろんなことに感謝しながら、向上心と情熱を持ち続けてうまく成長していってほしい」とエールが届いた。心の通い合った今、今度はピッチ上で呼吸を合わせる日へ、思いを募らせた。