J1磐田の「第3の男」が3月6日の開幕戦(対仙台)の先発に、名乗りを上げた。今季J2水戸から加入したFW荒田智之(24)が25日、法大との練習試合に先発出場。主力組の出た1本目の20分に、相手DFの裏に抜け出して先制点を挙げた。ケガで別調整中の昨季得点王・前田の代役が、猛アピールに成功した。

 久々のゴールにも、荒田は冷静だった。1本目20分、MF成岡のボールで抜け出すと相手GKと1対1。落ち着いて右足でゴール右に流し込んだ。2トップを組むイ・グノが流れて空いたスペースに走り込み、自身5試合ぶりのゴールが生まれた。「昨日話し合ったことができた。新潟戦(21日)に比べてもスペースをうまく使えた」と、好連係を自賛した。

 プロ3年目の荒田だが、開幕前のキャンプは初体験だった。昨季まで2年在籍した水戸はキャンプを行わず、地元での練習で調整していた。10日間もホテル暮らしでサッカー漬けの日々に「缶詰め状態なので少し疲れますね」とこぼしていた。始動から2戦連発も、キャンプイン後は4戦連続無得点だった。22日からの2連休は、若手6人で名古屋で買い物など息抜きに充てた。それでも23日には1人、クラブハウスを訪れ、体のケアを怠らなかった。

 チーム始動からちょうど1カ月。「シーサー」の愛称で、新天地にすっかりなじんだ。鹿児島キャンプ中にDF大井に「(沖縄の守り神)シーサーに似ているから」という理由で名付けられた。この日も「シーサー!ナイスゴール!!」と、MF西から祝福を受けた。奇抜なニックネームに荒田は「納得はいってないですけど、高校時代からいじられキャラなので…」と受け入れる構えだ。

 エース前田の負傷で巡ってきた大チャンスに「ここでものにしないといけない」と気合十分。沖縄などで、あしきものを吐き出し、福なるものを呼び込むことでまつられている伝説の獣シーサーのように、磐田に勝利と幸せをもたらしたい。【栗田成芳】