<練習試合:山形1-1仙台>◇27日◇宮崎・国際海浜エントランスプラザ

 今季初めて実現する「J1みちのくダービー」の決着は、シーズン本番に持ち越された。宮崎キャンプ中の仙台と山形が、前哨戦で1-1の引き分け。仙台は0-1の前半42分、FW中島裕希(25)がPKで同点にしたが、3月6日の開幕戦まで1週間の段階で、連係の不安も見え隠れした。

 息が合わない。MFフェルナンジーニョが、スルーパスを失敗するたびに天を仰ぐ。FW中原も「まだ互いに意図するところにボールが出ない」。MF関口もチームのバランス調整に追われ「チームとして厳しい。梁さんがいる時は、自分も高い位置で勝負できるんだけど」と相棒の合流を待ち望む状態。堅いはずの守備ラインも崩され、攻撃陣も、流れの中から無得点で試合終了の笛を聞いた。

 宿敵との真剣勝負で、仕上がりの遅さが浮き彫りになった。3月6日の開幕戦(アウェー磐田)まで、ジャスト1週間だが、手倉森監督は「まだ開幕スタメンを見極める段階」とメンバーを固定していない。競争がある分「今日は個人のアピールに走る選手が多かった」と指揮官。千葉も「ちょっと仕上がりは遅いけど(天皇杯準決勝まで進み)スタートが遅かったから。試合をこなせば良くなるはず」と今後に期待した。

 それでも光明はあった。先発2トップの中島とレイナルドが上々の連係を見せた。前半開始45秒、左から中島がグラウンダーのパスを入れ、レイナルドが左足で合わせるもポスト直撃。同42分には、中島の左クロスにレイナルドが頭で合わせGKを強襲。こぼれ球に詰めたMF千葉がファウルを誘い、PKを獲得した。それを決めた中島が「2人でチャンスは作れた。次は確実に決めるだけ」と言えば、レイナルドも「あと1週間。もっともっと良くなるはず」と前を向いた。

 チームは28日、J2鳥栖との練習試合を行い、宮崎キャンプを締める。最後のテスト実戦を前に手倉森監督は強気。「去年のベースがある。開幕戦まで1週間?

 十分間に合うよ」と言い切った。【木下淳】