10年札幌の両翼は前へ突き進むんじゃ。コンサドーレ札幌熊本キャンプ17日目となった1日、石崎信弘監督(51)が2月28日の大分戦にフル出場した左サイドバック岩沼俊介(21)を、サイド攻撃のキーマンに推した。積極的な姿勢が裏目となり、カウンターでの失点につながったものの、目指すサイド攻撃にメドが立ったことを評価した。開幕初スタメンを目指す4年目レフティーを左サイドの起点とし、今季はより攻撃的に戦っていく。

 指揮官が理想とする攻撃的左サイドバックに、磨きがかかってきた。プレッシャーを受けDFラインでのパス回しが多かった2月21日神戸戦から一変、大分戦で岩沼は何度もサイドハーフを追い越し、クロスも上げた。石崎監督は「(神戸戦より)バックパスが減ったし、前にボールを運べるようになった。改善ができている」と及第点を与えた。昨季から悩まされ続けてきた左の翼に、ようやくメドがついた。

 石崎監督が求めるのは、サイドバックがより高い位置でボールを受け、両翼から得点チャンスを生み出す攻撃的な形。そのためには運動量豊富で、クロス精度の高いプレーヤーが必要だった。昨季の左サイドバックは、ボランチの上里や西をコンバートするなど試行錯誤の連続。メンバー固定には至らなかった。岩沼に計算が立った、石崎体制2年目の今季、理想に近いサッカーができるメドが立った。

 初の開幕スタメンへ、岩沼も意欲をみせる。「3年間出たことがないし、何とか開幕に出たい。そのためにはこれからの努力が大事」。グアムキャンプでは体脂肪率12%以上の選手に課される4部練習をこなした。今では10・8%まで落とし、体にもキレが出てきた。三上強化部長も「グアムで最も成長した1人」と話すなど、周囲の評価も上がっている。

 当然課題もある。大分戦の1失点目は、左サイドからのカウンターだったが、逆サイドの岩沼がセンターバックの石川をケアできていれば、避けられていたものだった。指揮官も「あの場面ではしっかり戻ってカバーせな」と厳しく指摘した。開幕まで5日、守備面を改善し絶対的な地位を確立できれば、昨季以上に攻撃的な札幌のスタイルが完成に近づく。【永野高輔】