<J1:名古屋3-1G大阪>◇第20節◇22日◇瑞穂陸

 ピクシー率いる名古屋が大混戦の優勝争いから頭1つ抜け出した。G大阪戦の前半6分にMF中村直志(31)の34メートル弾で先制。リーグでは4年、実に1365日ぶりとなる得点で勢いに乗ると、FWジョシュア・ケネディ(28)の得点ランク首位に立つ今季11点目のゴールなどで快勝した。悲願の初Vに向けて、2位C大阪との勝ち点差を5に広げた。

 派手なガッツポーズだった。猛暑の中、ベンチ前で立ち続けて指揮を執ったストイコビッチ監督は笛が鳴ると、どうだ!

 とばかりに思い切り喜んだ。前節で川崎Fに0-4で大敗したチームが今季初の連敗の危機を阻止。中3日でキッチリ結果を出した。

 先制パンチが強烈だった。前半6分。MF中村が、ドリブルから思い切り良く右足を振り抜く。意表を突く34メートル弾。「ずっと我慢していたので、うれしいです」。中盤で猛犬のように敵を追い回す守備の人のリーグでは、実に1365日ぶりとなる得点で、チームは波に乗った。

 追い付かれてもすぐ反撃する。同32分にはDF闘莉王のヘディングでの折り返しを、MFダニルソンが頭で決めた。後半24分にはケネディが頭でだめ押し。守護神楢崎も終了間際に驚異的なセーブを披露。ストイコビッチ監督は「選手は強い気持ちをみせてくれた」と喜んだ。

 とにかく勝負弱く、J創設の93年から降格はないが、優勝したこともない。特に勝負時の夏に弱かった。クラブは08年から徹底して選手の血液検査を実施。2年半のデータを利用し、今季は夏場の試合では屋外でのウオーミングアップの時間を極力短くするなど、細かな工夫を施した。

 W杯による中断後6勝1分け1敗。一時は勝ち点3差のなかに4チームがひしめいていたが、これで2位に勝ち点5差をつけた。悲願のVは手の届くところにある。ストイコビッチ監督は「私が立ち向かってくる相手みんなをたたきのめす」と言い切った。【八反誠】