Jリーグは16日、主催試合の入場者数水増しが発覚した大宮に対し、過去最高タイの制裁金2000万円を科したと発表した。大宮は07年11月~10年10月までのホーム58試合で入場者数を偽り、合計11万1737人を水増し。Jリーグの諮問機関である裁定委員会が15日に処分の答申を出し、この日までに大東和美チェアマン(62)が最終判断を下した。過去の最高額は08年5月の浦和-G大阪戦でサポーターの衝突を防げなかった浦和に科された2000万円。それと同額の処分が大宮に下された。

 Jリーグが大宮に史上最高タイの制裁金2000万円を科した。積み重ねた違反はホーム58試合、水増し人数は11万1737人。大東チェアマンは「クラブの(当事者の幹部2人を解任したという)対応をかんがみても、大宮の責任は重大と言える」と断罪した。

 15日の裁定委員会で出された「制裁金2000万円、けん責(始末書提出)」という答申を、同チェアマンが受け入れた形。08年にサポーター同士が衝突した浦和-G大阪戦で浦和に科された2000万円に並ぶ額で「浦和のケースと比べられないが、個人的には重い処分と思う」と話した。

 入場者数の水増しは、Jリーグ規約の第3条「遵守義務」第2項「Jリーグの目的達成を妨げる行為および公序良俗に反する行為等を行ってはならない」、36条「スタジアムにおける告知等」第1項第7号「入場者実数」の違反に当たる。実数発表というJリーグの理念を揺るがす行為だ。

 それに対し、Jリーグは大宮を除くJ1、J2全36クラブの実行委員あてに入場者数の発表に関する調査票を配布。36クラブともに問題なしという結論を出したが、調査は自己申告のもの。大東チェアマンが「調査はできる限りしたが、全試合でできるわけではないので」と言葉を濁したように、再発の可能性がある事例ながら、具体的な対策は出されていない。リーグ側の対応にも問題が残る。

 同じ2000万円の制裁金を科された浦和の件はサポーターが起こしたものだが、大宮の件はクラブ内部の人間の意図的な違反行為の繰り返し。大宮の行為の方がより悪質という見方もでき、「勝ち点はく奪」などのさらなる厳罰が科されてもおかしくなかった。

 「勝ち点はく奪」については、八百長や審判買収など試合に直接影響する行為に対する処分という概念があり、同チェアマンは「裁定委員会も含め、その処分は挙がらなかった」と説明した。だが、事件発覚から1カ月半。処分や今後の対策ともに甘さが残る結末となった。